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水沼宏太選手(栃木SC)僕は身近な目標と大きな目標を立てる。チャレンジすることが大事

公開:2011年9月11日 更新:2023年6月30日

キーワード:Jリーグ栃木SC

■好きになれば、必然的に『これをやりたい』という向上心も出てくる

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――学校の勉強に関して何か言われたことは?
 
「自分の中でサッカーを一番においていて、両親もそれを理解してくれていました。ある程度はできるように勉強をして、あとはサッカーを第一に考えようと。でも、何も資格を持っていなかったので、そういうものが欲しくて、高校時代に簿記2級を受けたこともありました(笑)」
 
――ちなみに、サッカー選手以外になりたい職業はありましたか?
 
「もともと子どもが大好きなのですが、中学時代に体験学習で保育園に訪問する機会があったんですが、それが本当に楽しくて『保育士になりたいな』と(笑)。あとはミュージカルを見るのが好きで、劇団四季を見て高校時代には『これになってみたい』と考えたこともあります(笑)」
 
――ご自身の経験を踏まえて、ジュニアの世代のうちにこれだけはやっておいたほうがいいということはどんなことでしょうか?
 
「好きでサッカーをやっていると思いますし、だからこそ何よりも楽しんでほしいですね。僕自身も本当に『楽しむ』ことで育ってきたタイプなので。好きなことだったら、必然的に『これをやりたい』という向上心も出てくると思いますから。試合でも練習でも、全力で、そして何事にも積極的に取り組むことが大事だと思います」
 
――サッカーを続ける中で立ち止まったり、何かに息づ詰まったりする場面が訪れるかと思いますが。
 
「もちろん、サッカーを続ける中で壁にぶつかることもあると思いますが、練習で全力でやっていることは必ず自分のものになりますし、そういう時こそ自分を信じてプレーしてほしいですね。あまり「こうしなければ」と固執してしまうと、その技術は身についても、状況判断をしながらのプレーができなくなると思うので臨機応変に。あと、好きな選手がいれば、その選手のプレーを見るのもいいと思います」
 
――水沼選手が好きな選手は?
 
「小学時代は点取り屋だったのでラウル(シャルケ04)が好きだったんですよ。だから、当時はラウルの動きを意識したり、見習ってプレーしたことも」
 
――真似ることも一つ大事な勉強ですよね。
 
「プロになっても、そうやって他の選手から学べるという面もあると思いますし、いいものはどんどん盗めばいい。そうやって周りを見て、『こういうプレーもあるんだ』『こういう選択もあるんだ』と。それはサッカーだけではなく、普段の生活においても、いろいろな局面において状況判断は生かされると思います。だから、良いものを盗んで、判断する力を身につけていけたらいいんじゃないですかね」
 
 

■自分の目標を達成するために、自分で判断して移籍を選んだ

――さて、ここからは栃木SCでのお話を伺います。水沼選手から見た栃木SCはどんなチームですか?
 
「監督も言っていることなのですが、誰が試合に出ても高いレベルでプレーできていると思いますし、今、この順位(9月6日現在J2で2位)にいるということは、チーム自体のレベルが高くなっているということ。うちのチームはみんな本当に仲が良くて、お互いになんでも言い合える。そういう面でもチームの雰囲気づくりというのはよくできているのかなと思います。また、若い選手が多い中で年上の選手たちの存在はとても大きいですね」
 
――水沼選手は昨年7月に栃木SCに加入しましたが、この移籍が1つ転機になっているのでは?
 
「ここに来て選手としても、人間としても成長できていると思います。世間でいえば今年は大学4年生の年齢になるのですが、そう考えるとまだまだなんでもできる年頃。だからこそ、今、いろいろなことを吸収して、自分のものにしていきたいと考えています」
 
――この移籍によって、新しい自分を発見したというようなことは何かありますか?
 
「一人でもいろいろなところに行けるようになったことですかね(笑)。横浜にいる時は知り合いも友達もたくさんいて一人で食事に行くこともほとんどありませんでしたが、今は一人で食事することも多くなりましたから。一人暮らしも経験して、人間としても少しは成長できているんじゃないかと自分自身でも感じられています。なにせ生まれて初めて、全く知らない土地で生活しているので」
 
――しかし、ジュニアユースから所属していたチームだっただけに期限付きとはいえ移籍を決断する際はかなり迷ったのでは?
 
「昨年の南アフリカW杯をテレビで見たとき、自分がU-17W杯(07年)に出場したときのことを思い出し、素直に『自分もこういう場所でプレーがしたいな』と思いました。そのためには、まず所属チームで試合に出場しなければいけないと考えましたし、試合に出たい! と思いました。僕は身近な目標と大きな目標を立てるタイプなんですが、近い目標としてはやはり五輪。今は『五輪に出ないといけない。じゃあ、そのために自分は何をしなければいけないのか? チームで試合に出なければいけない』ということで、今回移籍を決断しました。もちろん、最終的にはW杯出場という気持ちも持っています。そういう意味では焦らず、一歩ずつ段階を踏んで成長していかなければなりません」
 
――ロンドン五輪出場への思いも強いということですね。
 
「それはかなり強いですね。その思いが強くなかったら、今頃ここにはいなかったかもしれません。自分の目標や夢に向けてどんどんチャレンジしていかないと。サッカー人生は短いですからね。(チャレンジしないのは)もったいないですよ」
 
――これからはいよいよ五輪アジア最終予選もスタートします。同世代の選手たちとともに戦うとことは、またチームとは異なった刺激を受けることも多いかと思います。
 
「もちろん所属チームでも刺激はたくさんありますが、またそれとは異なった刺激を受けます。それにカテゴリー別とはいえ、日本代表として召集されることはサッカー選手としてはとても光栄なこと。今も試合のときに国歌を聞くと鳥肌が立つくらいです」
 
――さて、そんな水沼選手のこれからの夢は?
 
「もちろん代表に入りたい、W杯に出場して活躍したいという気持ちは強いですが、自分が幼い頃からサッカー選手に夢を感動を与えて育ててもらったように、プロ選手になった今は自分がそれを与える番だと思っています。だからこそ、子どもたちに夢を与えられるような、試合を見に来てくださった方々に何かを伝えられるようなサッカー選手になりたいという大きな目標はありますね」
 
――では最後にジュニア世代の選手たちにメッセージをお願いします。
 
「サッカーを続ける中でいろいろな状況に直面すると思いますが、どんなときも自分はサッカーが好きで続けているんだということを感じながら、楽しむことを忘れずプレーしてほしいですね」
 

 

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水沼宏太//
みずぬま・こうた
MF。1990年2月22日神奈川県横浜市青葉区出身。175cm/66kg。あざみ野FC - 横浜F・マリノスジュニアユース - 横浜F・マリノスユース - 横浜F・マリノス - 栃木SC(期限付き移籍)。ミッドフィールダーからフォワードもこなすオールラウンダー。攻撃力に加え豊富な運動量を生かした献身的な守備も魅力。父は元日本代表、日産自動車・横浜マリノスで活躍した水沼貴史氏。
 

■水沼選手のプレーを見に行こう!『栃木SC

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取材・文・写真/石井宏美

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