■プレーや試合に対する理解度を高めることでプレー強度も高まる
ポール:指導者の方の中には「どうすればインテンシティを高めることができるのだろう?」と悩んでいる人もいると思います。ですが、インテンシティだけを切り取って指導をしても、うまくいかないと思います。なぜなら、選手たちは、インテンシティを高めるためにプレーをするようになってしまうからです。日本の多くの選手の場合、まずは『プレーや試合に対する理解度』を高めていくことが先決だと思います。その結果として、プレーのインテンシティが高まっていくのです。日本の選手の技術レベルはとても高いです。しかし、どの状況で、どのようなプレーをすればいいかという部分に関しては、まだまだ向上できる部分があると感じています。インテンシティも大切ですが、その前にゲームを読む力を上げる必要があります。パスをするためにパスをするのではなく、なぜパスをするのか、どのようなパスが効果的なのか……。グアルディオラが率いていた頃のバルセロナはパススピードが速く、攻守にわたって高いインテンシティでプレーしていました。戦術的な部分を高めていくことで、プレーの精度や強度が上がり、結果としてインテンシティも高まっていったのです。
福田:それは間違いないですね。僕は日本、パラグアイ、メキシコ、スペイン、ギリシャ、香港でプレーをしてきましたが、試合を読む力の大切さはすごく感じています。サッカーの試合は90分間です。その間、攻撃の選手は攻撃だけ、守備の選手は守備だけというのはありえません。ときには最終ラインでボールを回すこともありますし、かさにかかって攻める時間帯もあります。90分を通して、試合をどうコーディネートするかはすごく大事だと思います。チームとしても、戦術的に成熟することでプレーの激しさも出てきますし、プレーの緊張感、インテンシティも高まっていきます。ポールが言ったことは、そのとおりだと思います。
福田 健二(写真:左)
愛媛県新居浜市出身。ポジションはフォワード。年代別の日本代表で活躍し、アーセン・ベンゲル監督の下、名古屋グランパスエイトでプロデビュー。Jリーグ、パラグアイ、メキシコ、スペイン、ギリシャ、香港のリーグでプレー経験を持つ、国際派ストライカー。現在は、香港ファーストディビジョンリーグ・横浜FC香港に所属する。
ポール・デウロンデル(写真:右)
UEFA監督ライセンスA級を所持。サッカーサービス社において試合分析の責任者を務める。現在は、サッカーサービススクール常駐コーチとして来日中。サッカーサービス社は、スペイン、バルセロナに本拠を構えるプロの指導者集団。欧州名門クラブの育成監督などで構成され、リーガ・エスパニョーラトップチームの選手をはじめとした世界一流選手のパーソナルコンサルティングを行う。
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取材・文/鈴木智之