サッカーの守備において、1対1で勝つのは非常に大切なことです。バルセロナのプジョルやマスチェラーノ、チェルシーのテリーやダビド・ルイス、ミランのネスタやチアゴ・シウバなど、世界トップクラスのチームには必ず1対1に強いタイプのディフェンダーが存在します。
どんなにパスで崩されても、どんなにカウンターを食らっても、最終的に1対1のディフェンスで止めさえすれば、ほとんどの失点は防ぐことができるでしょう。それほど1対1はサッカーにおいて重要な要素なのです。
しかし、
「僕はスピードやパワーに自信がなくて、1対1の対決に負けてしまいます......」
このような悩みを抱いている人は多いです。ただ、スピードやパワーがあれば1対1で勝てるのでしようか?実は、そうではありません。
1対1では『姿勢を整えること』も同様に重要です。『姿勢を整えること』ができれば、むざむざ相手に突破されることはなくなります。今回は1対1の姿勢作りについて、コツを紹介します。
■3つの姿勢のメリットとデメリットを理解しよう
サッカーの1対1のディフェンスで最もやってはいけないのは、自陣ゴールの方向へ突破を許すことです。つまり、ディフェンスは裏(背後)のスペースを突かれないように注意しなければいけません。
それを踏まえたディフェンスの基本姿勢は、以下のような形になります。
※出典:『サッカー守備 ディフェンス&ゴールキーパー練習メニュー100』
注意するべきポイントは3つです。
- 肩幅くらいに足を開く
- 重心を軽く沈ませる
- 片足を少し前方へ出す
このようにして姿勢を作り、相手が持っているボールと自陣ゴールの間にポジションを取ります。なぜ、この姿勢が有効なのかといえば、裏(背後)のスペースにドリブルで進入してくる相手への対応をスムーズにするためです。片足を前へ出し、両足をズラして立つことで、後ろに振り返りながら素早く1歩目を踏み出せ、相手のドリブル突破に対応できます。
一方で、下記のような姿勢の場合はどうでしょう?
これは両足を横にそろえて立つ、『両足立ち』のディフェンス姿勢です。
この姿勢の大きな欠点は、足をズラして構えたときに比べて、後ろに1歩目を踏み出すのが遅くなることです。相手に対して真っすぐ両足をそろえて立つと、後ろ(背中側)へ進むのに時間がかかってしまい、裏(背後)のスペースへの対応に弱点を作ってしまうことになります。
しかし、この両足をそろえる姿勢も、絶対にダメというわけではありません。
両足をそろえて立つことで、左右均等に反応しやすいので、たとえば自陣ゴール前などで相手にシュートを打たれそうなとき、左右に足を出してブロックするのに向いています。裏(背後)のスペースはGKのカバーリングが期待できる位置なので、このような姿勢でも構わないわけです。
どんなディフェンス姿勢にも、メリットとデメリットがあることを理解しておき、状況に応じて使い分けることが必要になるのです。
文/清水英斗、写真/サカイク編集部(ダノンネーションズカップ2012より)