<<金成仙太郎の「ウォーミングアップ×クールダウン理論」>>
疲労の回復を早めたり、成長痛などの障害を予防したり、次の試合や練習に万全な状態で臨んだりするためにも、クールダウンは少年サッカーでもとても重要なものです。
今春開催されたサカイクキャンプにトレーナーとして帯同してもらった株式会社国際スポーツ医科学研究所代表で、JASA公認アスレティックトレーナーの金成仙太郎さんに聞く「少年サッカーに必要なクールダウン」。
前回はその具体的なメニューを伺いましたが、今回は「実際にクールダウンを実施する際に指導者が注意すべきこと」をテーマにお届けします。
取材・文/杜乃伍真 写真/サカイク編集部
■ジョギングを軽視してはならない理由
たとえば、町クラブのお父さんコーチが目の前の子どもたちにクールダウンを実施したいと考えたときに、注意すべきポイントはどのようなものになるでしょうか。指導者がしっかりとコーチングをしながら子どもをクールダウンに集中させ、心を落ち着かせて、その効果を最大限に引き出すことの重要性は前回お伝えしました。
これに加えて金成さんは、
「まず抑えるべきはクールダウンのオーソドックスな順番です」といい、前回もお伝えした以下のクールダウンの順番を提案してくれました。なお、各メニューの詳細は前回の記事を参照してください。
1.軽い数分間のジョギングで心拍数を整える
2.目を閉じて、ゆっくり深呼吸をして、リラックスをする
3.ストレッチ(腿の前、腿の裏、アキレス腱など)
4.パートナーストレッチ(腿の裏、肩もみ)
5.最後は白樺のポーズで終了する
金成さんは「まずジョギングで心拍数を整えるのを軽視しないようにしてください」と強調します。
「激しい運動をしたあとに、すぐに止まってしまったりすると、それまで心臓のポンプ作用で全身に流れていた血液が、逆に急にポンプ作用が止まってしまったことで、心臓や頭に血液が戻らなくなってしまうのです。ときどき気持ち悪くなったり、頭が痛くなったりするのはこのためです。だから激しい運動のあとは急に止まることなくジョギングをしながら心拍数を整えるようにしてください」
まずジョギングを行う1~5の順番が理想となりますが、もちろん、いかなる状況でもこの順番を律儀に守って子どもたちに実行させる必要はありません。実際、金成さんも「グラウンドの使用時間などもあり、練習後に十分にクールダウンをする時間がとれない子どもたちはたくさんいる」という現状を十分に把握しています。
「その場合は、軽いジョギングを数分間だけで終わらせて、その場で立って行える簡単なストレッチで、腿の前を伸ばしたり、腰を回したり、アキレス腱を伸ばしたりしましょう。ただし、試合後や練習後に時間がないからと自宅に帰ってからストレッチを行っても身体も筋肉もすでに冷えてしまっているので多くの効果は望めません。ストレッチは運動をしたあとの身体が温まっている状態で行うともっとも効果があることを覚えておいてください」
取材・文/杜乃伍真 写真/サカイク編集部