現在、流通経済大学4年生で、ともにU-22日本代表の中心選手として、ロンドン五輪アジア最終予選を戦う山村和也選手と比嘉祐介選手。二人とも来季からはプロのサッカー選手として羽ばたいていきます。多くの選手が高校卒業と同時に、プロへと進む中で大学進学という道を選んだ理由。そして、そこまでの道のり、その先にある目標などを語ってもらいました。
■大学とは違うプレッシャーと、重みを感じている
――二人から見たU-22日本代表はどんなチームですか?
山村 明るいですね。
比嘉 みんな仲がいいです。
山村 雰囲気はすごくいいし、オンとオフの切り替えがはっきりとできるチームかなと思います。練習ではしっかり集中しながらも、その中で僕らの良さでもあかる明るさも出せていますし。そういう意味ではいいチームなのかなと。
――二人にとって日本代表として戦うことの意味とは?
比嘉 たとえ1回のミスでも相手もレベルが高いので失点してしまう。これまでそれを嫌というほど痛感しました。だからこそ、緊張じゃないですけど、大学とプレッシャーが違うなというのは感じていますし、重みも感じています。
山村 1試合1試合「日本を背負っているんだな」という重みを感じているので緊張もするんですが、それを楽しめている部分もありますね。
――ロンドン五輪アジア2次予選を戦って、アウェイの難しさも痛感しているとおもいますが。
比嘉 中東の気候は大体わかったよね?
山村 クウェートはすごく暑くて戸惑いました。
比嘉 本当にやばかった!!
山村 息がしづらく、まるでサウナに入っているようでした。
比嘉 めちゃのどが痛くなって、練習中に水を飲んでもすぐにかれてしまって。
山村 中東に行ったことは過去にもあったのですが、真夏の40度越えは経験したことがなかったので、すごくきつかったです。
――それでも、どんな状況においてもプレーしなければなりません。
山村 ミスが多いと、あのように体力がかなり消耗するゲームはきつくなってくるということをあらためて感じました。
比嘉 自分は前半に負傷してその後は横から見ていたんですが、今、ヤマがいったように、ミスをしたらまたボールを取りにいかないといけないので、本当に「きつそうだな」と思いながら見ていました。
山村 アジアを突破する大変さを実感しました。
比嘉 かわったよね? クウェート。ホームに行って強くなった感じがしたもんね。
山村 ホームとアウェイで、これほどにもチームの雰囲気や勢いがかわるんだ、ということを実感しました。粘り強さがまるで違いました。シュートも積極的に打ってきましたし。本当にやりづらかったです。
――現在、日本は五輪に連続出場を果たしており、そういう意味でもアジア最終予選は絶対に負けられない戦いとなります。
比嘉 自分はプレッシャーを感じるというよりも、本大会に出場したいという気持ちがなによりも強いのでむしろ楽しみにしています。
山村 自分もあまりプレッシャーは感じていませんね。日本がこれまで五輪に連続出場していることに関しても、変なプレッシャーにはなっていません。五輪に出て、どれだけ自分がプレーできるのかというのを試してみたい気持ちが強いので。そのためにも、まずはしっかりと予選を突破したいと思います。
■アジア最終予選を全勝突破。そしてメダルへ。
――最終予選に向けての意気込みを聞かせてください。
比嘉 スタメンで試合に出られるよう、代表でしっかりアピールしていきたいと思います。
山村 最終予選の全試合を勝つというくらいの強い気持ちで戦って、アジア予選を突破し、五輪出場権を獲得したいと思います。
――最後にジュニア世代の選手へメッセージをお願いします。
山村 足元の技術とかは小学校から身につけられる部分。自分も小学生のときにもっとやっておけばよかったかな感じているので、ぜひたくさんボールに触れてほしいですね。
――二人のこれからの夢は?
比嘉 僕は……ロンドン五輪に行くこと。そしてメダルを獲ることですね。
山村 目標はね
比嘉 目標は高く!
山村 自分はチャンピオンズリーグに出ることが目標ですね。ビッグクラブで活躍している日本人選手も多くなってきたので、自分たちもやればできるのかなと思えるようになりました。
山村和也//
やまむら・かずや
DF、MF。1989年12月2日生。長崎県長崎市出身。186cm/76kg。国見中学校 - 国見高等学校 - 流通経済大学。ポジションはセンターバックおよび守備的ミッドフィールダー。ロンドン五輪を目指すU-22日本代表の主将を務める。流経大の中野監督も「10年に1人の逸材」と評価するほどの逸材で、昨年の広州アジア大会では主将として、優勝に貢献した。J1鹿島への加入が内定。
比嘉 祐介//
ひが・ゆうすけ
DF。1989年5月15日生。沖縄県出身。168cm/68kg。流通経済大学付属柏高等学校 - 流通経済大学。ポジションは左サイドバックで、ロンドン五輪を目指すU-22日本代表。流通経済大学付属柏高等学校3年時に、高円宮杯全日本ユース選手権、全国高校選手権の2冠を達成。2010年アジア大会では、日本代表メンバーとして、金メダルを獲得した。2012年より横浜F・マリノスへ入団する。
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取材・文/石井宏美 写真/新井賢一