インタビュー
『FOOT×BRAIN』プロデューサーに聞く!考えるきっかけを与えるサッカートーク番組が生まれた経緯とは?
公開:2013年2月 9日 更新:2023年6月30日
現在、テレビ東京系列で放送中の人気サッカー番組『FOOT×BRAIN』。
(毎週土曜日、夜11時05分から放送中 ※BSジャパンは毎週日曜日の深夜0時35分)
番組のサブタイトルは、"日本サッカーが強くなるためにできることのすべて"。ビジネス、科学、芸術など、サッカーに関わるあらゆる分野のプロフェッショナルをゲストに迎えてトーク番組を展開しています。
その独特の深く掘り下げた番組作りが話題となり、2011年4月2日の放送開始以来、サッカーファンの人気を集めている『FOOT×BRAIN』。今回はその生みの親であるテレビ東京プロデューサー、加固敏彦さんのインタビューをお送りします。
サッカー番組の作り手は、育成をどのように考えているのか。興味深いお話をたくさん聞くことができました。
■『FOOT×BRAIN』はどのようにしてスタートしたのか
――まずは『FOOT×BRAIN』が始まったきっかけを教えてください。
弊社では久しくサッカー専門番組のない時代が続いていたこともあり、社内と社外を含めて、番組をやりたいという声が出てきました。テレビ番組なので、"やりたい"だけでは成立しませんが、いろいろな人の意見と、会社も"やろう"というタイミングがすべて合って始まりました。
その背景にはテレビ東京で昔、『ダイヤモンドサッカー』という番組を長らく放送しており、いまだに社内、社外にあの番組のファンが多く、もう一回できないかと。ただ、あの番組は主にヨーロッパのサッカーの試合を放送する番組だったので、もちろん今の『FOOT×BRAIN』とは全く違いますが、今回サッカーというものを真面目に取り上げる番組を復活させられないかという発想から始まりました。
――番組作りのコンセプトを教えてください。
既存のサッカー番組に関しては、他局の番組が我々の先にあったわけですよ。地上波放送しているサッカー番組としては3つ目という感覚だったので、単純に言えば、違うことをやらないと意味がない。番組が始まるまでは試行錯誤で、みんなで考えて、最終的にトーク番組じゃないかという答えにたどり着きました。試合を見せてゴールがすごいとか、すごくないとか、そういうこととは切り離しています。それは局の中にもスポーツニュースがありますし、サッカーの競技的なものは他の番組でも補完できているので、それらと違ったものとなると、今のコンセプトであるFOOTとBRAIN、足と頭で考えるというキーワードになりました。トーク番組という大枠だけを決めて、そこから先は何を扱うのか、誰を呼ぶのかについては、日々考えているところです。大枠だけあえば何でもできる番組になっていると思います。
――いわゆる"裏方"に分類される方々も多く出演する番組になっていますが、そこには何かこだわりがあるのですか?
それは簡単に言うと、表も裏もないんです。サッカーというキーワードさえあれば、何が表か裏かは、僕らの中ではわからない。サッカーに関係するものはすべて扱うというスタンスでやっているので、それを他人が裏と呼ぶのなら裏なのでしょうけど、僕らのなかでは、伝える価値があると思ったらそれがすべてです。
――制作にあたって、トーク番組以外のアイデアは出ていたのですか?
いえ、他の選択肢はほとんどなかったです。他でやっていないこと、それはやはりトーク番組だろうと。ただ、唯一迷ったのは土曜日の放送だったので、その日のJリーグの情報を入れるか入れないかです。最初の段階ではやっぱり入れたほうがいいんじゃないかという議論はありましたが、まさに今言った流れで、割と早い段階でそれはやめておこうということになりました。結果的には良かったのかなと。
――番組の一つ一つが、サッカー雑誌のような作りになっている印象を受けます。
そうですね。ただ、25分番組なので、雑誌ほど深くは取り上げられません。そこまで深く切り込むと、"足りない"というふうに思われてしまうので、そこは意識しています。雑誌であれば本来もっと深くできることでも、25分のテレビ番組ではそこが疎かにならないようにするのがいちばん難しいところ。突っ込んでしまうと、その時間では足りず、普通はできないだろうという消化不良を起こさないようにどう見せるか。それがいちばん考えていることです。
――必ずしも番組内で完結させるつもりはないと?
もちろんそうです。答えを毎回出しているつもりもないんです。考えるきっかけを与えるだけでも、ひょっとしたらいいのかもしれないし。答えまでたどり着く回もあるとは思いますけど、それはテーマによりけりですね。
加固敏彦//
かこ・としひこ
テレビ東京スポーツ局1997年入社。スポーツニュースの記者、スポーツ中継ディレクターを経て現在はプロデューサー。04年アテネ、08年北京の五輪2大会を現地取材。2005~2007年はニューヨーク支局勤務、メジャーリーグ担当。
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