21歳、19歳、10歳。3人の息子の父である元日本代表キャプテンの山口素弘さん。子育て歴21年。サッカー少年少女の親としてはサカイク読者の先輩にあたる彼の育成方針とは――。前編となる今回は、山口素弘の子育て論についてお話をうかがいました。(取材・構成 小須田泰二 写真 サカイク編集部)
■「まずは挨拶をしよう!」とずっと言い続けてきた
――今回は、監督・山口素弘としてではなく、父親・山口素弘としてのお話をうかがいたいと思います。読者の先輩として、これまで子育てをしてきたなかで、気をつけてきたことや力を入れてきたことなどはありますか?
子どもたちに対して特別なことは言ってこなかったと思います。「勉強しなさい」と口を酸っぱく言い続けてきたわけではありませんし、ぼくがサッカーをしてきたからといって「サッカーをしてほしい!」とお願いしたこともありません。あらためて振り返ってみても、なにかを強制したことはないと思います。
――ある意味、自由に育ててきたということですか?
そうですね。子どもたちに言い続けてきたことを強いて挙げるなら、“挨拶”くらいでしょうか。まずは朝起きたら「おはよう!」と言い、食事をする際は「いただきます」「ごちそうさま」とお礼する。学校に行く際には「行ってきます」、家に帰ってきたら「ただいま」と挨拶する。これが子育て論と言えるかどうか分かりませんが……(笑)。「まずは挨拶をしよう!」 というのは、ずっと言い続けてきたことです。山口素弘の教育方針と言いますか、ぼく自身の“こだわり”です。
――最近、しっかり挨拶できない子が多くなってきたと言われています。
そのことはぼく自身も感じています。ぼくはずっと体育会で育ってきたことも影響して、やはり挨拶だけはしっかりさせています。10歳になる三男が通う小学校の集団登校係の当番が回ってくるんですよ。旗を持って引率するんですが、最初のころ、「おはよう!」とぼくのほうから声をかけても、なかなか反応してくれないことが多かったんですね。その後、何度か顔を合わせても、なかなか挨拶できない子が多くて驚いたというか、寂しかった。そんな出来事があると、ますます挨拶の大切さを感じます。
人に会ったらまず挨拶するというのは、人として大切なことだと思うんです。挨拶できない社会人にはなってほしくないから、小さいころから習慣付けることは大事なことだと思っています。自然にできるようになっておいたほうが、人間関係においてもプラスに働くと思っています。