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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2015

バルサ一の才能!チャビ・シモンズから学ぶ"周囲を観る能力"【レポート2日目】

公開:2015年8月29日 更新:2021年1月27日

キーワード:アルゼンチンサッカーサービスジュニアサッカーワールドチャレンジセレッソ大阪バルセロナ名古屋グランパス大宮アルディージャ東京ヴェルディ柏レイソル浦和レッズ

昨日、鹿島アントラーズジュニアを3-0で破ったU-12ベトナム代表が、東京ヴェルディジュニアにも2-1で競り勝ち連勝して存在感を見せれば、大会に“アルゼンチンの風”を巻き起こしているデポルティーボ・カミネーロスは、大宮アルディージャジュニア相手に、2-1の逆転で初勝利。¬この日も名古屋グランパスU-12を2-0で下し、3戦全勝でグループ1位を決めたバルセロナや、2勝1分けで1位突破を決めたエスパニョールはもちろんですが、私たちが普段見慣れたパスサッカー、ボールを保持して試合を進めるポゼッションサッカーとは違うそれぞれのサッカーを見せてくれる海外招待クラブが、ワールドチャレンジの醍醐味です。(取材・文 大塚一樹 写真 鈴木蹴一)
 
大会2日目を迎えたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、どの試合にもクラブやチームの個性がにじむ戦いが繰り広げられました。
 
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必死の形相のカミオネーロスの選手たち。ピッチの上ではつねに全力投球。あなたのお子さんはこんな表情でサッカーをしていますか?
 
 

■「世界」も「サッカー」もひとつじゃない

「僕たちも言葉では簡単に『世界』『世界』って言うけど、一言でくくれないのが世界。その違いがわかった気がします」
 
グループリーグ最終戦でカミオネーロスと対戦したセレッソ大阪U-12の大谷武文監督は、球際の激しさと勝利への執念で勝利をもぎ取られてしまったカミオネーロスとの対戦を、こう振り返りました。過去の大会でバルセロナとの対戦経験もある監督だからこそ、この大会に新たな存在意義を与えてくれているカミオネーロスに、欧州勢とは違うアルゼンチンのサッカー、世界のサッカーの多様性を感じたようでした。
 
「ガツガツくるとは聞いていたので、選手たちに『先にがつんと行け!』とは言っていたのですが……」
 
カミオネーロスに2対1で逆転負けを喫した大宮アルディージャジュニアの丹野友輔監督も、カミオネーロスが見せる勝負強さに「選手たちが気圧されていた部分はあった」と言います。
 
どちらのチームの選手たちも敗戦後は悔しさをにじませていました。「テクニックなら」「パスワークなら」「自分たちのサッカーができれば」……やられた感じがしなくても、スコアで勝ったのはボールを懸命に追い、徐々に試合を自分たちのペースに引き込んでしまうカミオネーロスの選手たちだったのです。
 
「もちろん誰もが(サッカーに)人生をかけている。今回のチームを見ても日本やスペインは冷静で、いい教育を受けていると思うし、素晴らしいチームばかりだが、アルゼンチンにとってのサッカーはそういうものではない」
 
連日テクニカルエリアをはみ出んばかりの(実際にはみ出て審判から注意を受けることもしばしば)オーバーアクションで、ピッチサイドで選手たちと一緒に“戦っている”カミオネーロスのホルヘ・ルベン・デウー監督は、その情熱的な指導法を問われてこう答えました。
 

■アルゼンチンでは、サッカーがなければ生きていけない

 
じつは、カミオネーロスのいるグループDは、柏、大宮、C大阪と日本のJクラブの中でもパスワークやテクニックに定評のある強豪がひしめく“死の組”だったのです。
 
実際に、勝ち点6でカミオネーロス、柏、大宮の3チームが並び、得失点差で大宮が1位、得失点でも並んだ柏とカミオネーロスは初日の直接対決で柏が勝利していたため、カミオネーロスは順位決定戦に回ることになってしまったのです。
 
ゴールが決まればまるで優勝でもしたかのように喜びを爆発させ、判定に不満があれば両手を広げてレフェリーに近寄っていく。勝利への執念をむき出しにするカミオネーロスの選手は、この結果にずいぶん落ち込んでいるそうです。しかし、「アルゼンチンではサッカーがなければ生きていけない」と語ったデウー監督と選手たちの思いは一緒でしょうから、明日からの順位決定戦でも試合開始のホイッスルさえ鳴れば勝利を目指して全力を尽くしてくれるはずです。
 

■注目のチャビ・シモンズ選手のプレーを"わが子のプレーの参考になるように"観よう!

 
スコアだけを見ると例年ほどの圧倒的な戦力はないように見えるバルセロナですが、監督以下チームスタッフは、この時期の選手たちの成長や要求に対する理解度、達成度には満足しているようです。
 
昨日に引き続き、世界屈指の指導者集団サッカーサービスのポールコーチにワンポイントで解説をお願いしたところ、話は自然とチーム1の才能(タレント)を持つチャビ・シモンズ選手のプレーの話題になりました。
 
「集中してプレーしているし、プレー強度も出せている。リーダーシップもあるし、ディフェンス時に味方のカバーリングも彼が一番良くできている。両足を器用に使えるし、多くのタレントを持っているにもかかわらずエゴイストではないところもいい」
 
ポールコーチはシモンズ選手をこう評します。
 
金髪のボリューミーヘアをなびかせて独特の存在感を放つシモンズ選手は、すでにワールドチャレンジの会場でも人気者です。攻撃のテクニックだけでなく、守備でも存在感を示すシモンズ選手はポールコーチによると「他の選手に比べて試合から多くの情報を得ているので、プレーのオプションを多く持っている」と言います。
 
「同じく中盤でプレーするウーゴ選手もとても周囲をよく観ていて、状況を把握しようという意識の高い選手です。シモンズ選手はウーゴ選手より観る頻度は少ないでしょう。でも持っている情報はシモンズの方が多い」
 
次ページ:「周りを見ろ」ではなく、周りの何をみるかが重要
 

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