本・書籍

2011年10月19日

三浦知良著『やめないよ』


【書評】三浦知良著『やめないよ』

<<内容>>
 
現役最年長のJリーガー、三浦知良選手。新聞に連載された彼のコラムがまとめられ、書籍になりました。
ここ5年間のカズの、飾らない生の思考が目一杯つめこまれています。
 
キングのキングたるゆえんが垣間見える部分もたくさんあり、
いつまでも愛されてやまないカズの魅力が直に伝わってくる本です。
 
サッカーだけでなく、人間的にキングであるとはどういうことか、
それを珠玉の名言とともに、伝えてくれる一冊です。
 
<<レビュー>>
 
Jリーグが始まった頃、チャラチャラしたイメージでメディアに登場し注目を浴びていたが、
「それは日本サッカーを盛り上げようとするカズ選手なりのパフォーマンスだった」、
という意見を聞いたことがあるが、この本を読むとそれも本当のことだろうと思ってしまう。
 
そして、なによりすごいのは、
ここまでサッカー界を俯瞰できる立場・年齢でありながらいまだにカズ選手が現役だということ。
今すぐ協会の会長にでもなれるんじゃないの? と、思ってしまうが、
本人は本当に全くそんなつもりはなさそうだ。
 
カッコつけるためでもない、パフォーマンスでもない、
そこにあるのはとにかくサッカーを愛し、とにかくピッチに立っていたいという情熱だけ。
 
サッカー界への苦言も優しい言葉で書かれていて、
これは年齢・経験の成せるところなのかなとも思うが、
シーズン途中でクラブの成績がよくないときに書いているものは、
行間からピリピリした雰囲気が立ち昇ってくる。
 
そんなときは本当に現役の選手なんだな、と改めて思い知らされる。
 
サッカー選手としてだけでなく、人間としてひとつの完成形に近い、
キングの思考に、ただただ圧倒される。
そして、読んだ人には、読んだ人の気持ちに最も近い形で、
なにかしらの前向きなエネルギーが注入されると思う。
 
僕は、10年後も20年後も、ピッチでカズダンスを見ていたい。
 
 
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