本・書籍
2011年8月29日
池上正著『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』
【書評】池上正著『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』
<<内容>>
著者の池上正氏(現:NPO法人I.K.O市原アカデミー代表)は、
ジェフユナイテッド市原千葉の育成普及部長を務めるとともに、
小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を通して
延べ10万人の子どもたちを指導されてきました。
本書は、池上氏の約30年に及ぶ指導経験を基に、
子育てや人間教育の観点からサッカーで子どもを伸ばす方法を提案しています。
「自分で考えるサッカーを子どもたちに」
をテーマとするサカイクにも大きな影響を与えていただいた一冊です。
<<レビュー>>
以前、池上氏の講演会に参加したことがあります。
そこで、「ヨーロッパでサッカーが文化と言われる理由は、
サッカーが子どもの教育として根付いているからである」というお話がありました。
教育(education)という言葉は、『人の持つ様々な能力を引き出すこと』に由来するそうです。
いい意味でも悪い意味でも、日本人の指導者は教えすぎてしまうことは、以前からもよくいわれていることですが、
池上氏は「上手くならなければならない。試合に勝たなければならない。
と思っているのは、大人の都合もある。
もちろん子どもも上手くなりたい、試合に勝ちたいと思っているが、大人が義務化してはいけない」。
そして、「育成年代の子どもは純粋にサッカーを楽しんだり、
別のところに喜びを感じていることもあるんです。
その子にとって、何が大事かを考えることが必要。
日本の指導者はある意味で真面目すぎる。
もっと頭をやわらかくしてもいいのではないでしょうか」と提言されていました。
本書でも、たびたび出てきますが、
池上氏は、「子どもがサッカーを楽しむことを一番に考える」、
そして「子ども自身に考えさせる」、
「子どもの頭に働きかける指導を行う」ということを説かれています。
それは、大人が答えを与えるのではなく、子どもから答えを引き出す方法です。
そのために、大人はどのように子どもにアプローチしていけばいいのか、
本書では池上氏の実体験を基にアドバイスされています。
本書はサッカーをテーマにした本ですが、
スポーツを通した子どもの教育について語られている本だと思います。
ダメだと分かっているけど、ついつい子どもにガミガミいってしまう方、
ついつい必要以上に世話を焼いてしまう方、子どもの自立や教育に悩んでいる方は、
必ず解決のヒントが見つかると思います。
サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法 (edu book)
posted with yasazon
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