親子でチャレンジ
2012年8月16日
サッカーライターが教えます!親子でサッカーテレビ観戦を楽しむコツ
みなさんはサッカーの試合を観るとき、どのようなところに注意しながら観戦していますか?
Jリーグ、そして今週末から2012~2013シーズンが開幕する欧州サッカーなど、私たちは毎日スカパーを通して世界中のサッカーと触れ合うことができます。特に今は夏休みなので、親子が一緒にテレビの前に並び、試合観戦をする機会も増えているのではないでしょうか。
そこで今回は3人のサッカーライターがオススメする『親子でのサッカーテレビ観戦を楽しむコツ』を紹介したいと思います。
もちろん、ただ何となくサッカーを観ていても楽しいのですが、そこから一歩踏み込み、サッカーに対してより深い視点で「ああでもない」「こうでもない」と親子でコミュニケーションを取りながら観戦するのも楽しいものです。子どもの脳の発達にも役立つはず。
ぜひ、参考にしてみてください。
■テレビならではの機能を生かして観る
まずは、スポーツライターの北健一郎さんのオススメ観戦法です。
①スタメンのポジションを紙に書く
北「紙に書くことで誰と誰がマッチアップしているのかが分かるので、試合のポイントが見えやすくなります。なるべく試合開始から5分以内にやったほうがいいです」
お互いのシステムを紙に書いておけば、例えばAチームの右ウイングの選手と、Bチームの左サイドバックの選手がマッチアップするなど、試合の状況が見えやすくなります。
②リプレイを観る
北「テレビ観戦の良さはリプレイを見られるところ。ゴールシーンのリプレイのときは、足のどの部分でボールを蹴っているのか、ボールが来る前にどんな駆け引きをしているのかに注目するといいですね」
スタジアムにはスタジアムの良さがありますが、テレビの良さはやっぱりこれ。リプレイがあることです。細かいテクニックを見逃さず、注意して観てみましょう。
③追っかけ再生機能を使う
北「最近のレコーダーに付いている追っかけ再生機能を使うのも手です。必ずしもライブで観る必要はないので、試合中に気になるポイントがあったら巻き戻して、自分でリプレイをしながら観るのも良いと思います」
追っかけ再生は、テレビ番組の録画と再生を同時に行う機能です。これを使えばライブ放送の場合でも、巻き戻してリプレイを観ながら、ほぼリアルタイムで試合を楽しむことができます。「オフサイドかどうか、ハッキリ分からなかったなあ…」という場合は、サッと巻き戻して確認してみましょう。
■なぜ? を考える観戦法
次はスポーツライターの鈴木智之さんのオススメ観戦法です。
鈴木「なぜ、選手がそのプレーを選択したのかを考えてみましょう。例えば、ある選手のプレーにフォーカスして、親が子どもに『なぜ、あの選手にパスを出したんだろうね?』と、質問を投げかけます。親が分かっていても、分からないふりをして聞くのがポイント。質問をすることで、子どもが自然とプレーについて考えるように導きます」
スペインのサッカー指導では、『サッカーとは頭から始まり足で終わるスポーツである」と言われています。つまり足で良いプレーをするためには、まず、頭が良い働きをしなければならないということ。試合を観ながらプレーを考えることは、思考能力を磨くことにつながります。
鈴木「スポーツ心理学の観点からも、テレビを観ながらプレーを考えることはイメージトレーニングの効果があります。人間はイメージできないことを実際に行うことはできません。試合をたくさん観て、選手のプレーのアイデア、動きを頭の中にストックしておき、練習に生かすことで、いざというときにとっさに体が動くようになります」
ただ漠然と試合を観るのではなく、そのすべてをイメージトレーニングとして観ることができれば、子どもはどんどんサッカーがうまくなるでしょう。
■ファーストタッチを見極める観戦法
最後はサッカーライターの秋元大輔さんの観戦法です。
秋元「僕はいつもファーストタッチのボールの置き所に注目して観戦しています。それはなぜかと言えば、選手がボールをどこに置くのかによって……、
- 状況を見て判断ができているか
- ゲームの流れが見えているのか
- 攻撃に比重を置いているのか
- 守備に比重を置いているのか
- 試合展開をどう意識しているのか
このようなポイントを把握しやすくなります」
ファーストタッチを観れば、相手のゴールに向かっているのか、それともボールキープしながらパスを回すことを優先しているのかといったプレーのねらいが明らかになります。
秋元「ストイコビッチ、本田圭佑、乾貴士のファーストタッチはそれぞれタッチの仕方は違うけど、次の流れをかなり意識しているように見えます。また以前、元日本代表の岡田武史監督が内田篤人選手を高く評価していたのは、“ボールを自分の前にさらして置くサイドバックは日本人にはなかなかいない”から。だからこそ、初めて彼を見たときに岡田監督は“おっ”と思ったそうです」
このようなファーストタッチの特徴は、それぞれ選手によって違いがあるので、子ども自身に近いプレースタイルの選手を見つけるのも面白いかもしれません。
例えば日本代表の長友佑都選手は、自分と同じサイドバックのマイコンについて「彼は世界一のサイドバック」と称賛しています。彼を目指し、彼を超えることをイメージしながら努力しているのです。そして遠藤保仁選手の好きな選手も、やはり自分と同じポジションのシャビ・アロンソで、彼のプレーが参考になる」と言っています。また、岡田監督は中村憲剛選手に対して「ジェラードをイメージしてプレーしたらどうだ」と伝えたこともありました。
長友選手、遠藤選手、中村憲剛選手のように自分にとって参考になるプレーヤーを探し、じっくりと観察するのもテレビ観戦の醍醐味かもしれません。録画しておけば、何度も見返すことができます。
サッカーがうまくなるためには、良い試合をたくさん観て、脳を発達させることが大切です。ぜひ、親子で取り組んでみてください!
【プロフィール】
北健一郎(きた・けんいちろう)//
スポーツライター。著書『サッカー日本代表の戦術が誰でも簡単に分かるようになる本』が好評発売中。
鈴木智之(すずき・ともゆき)//
サッカーライター。『自分を高める36のスポーツメントレ―ワンランク上の選手になる! 」(大儀見浩介著/合同出版)』の構成を担当。
秋元大輔(あきもと・だいすけ)//
サッカーライター。著書『なぜ流通経済大学サッカー部はプロ選手を輩出し続けるのか? 』が好評発売中。
清水英斗(しみず・ひでと)//
フリーのサッカークリエイター。ドイツやオランダ、スペインなどでの取材活動豊富でライターのほか、ラジオパーソナリティー、サッカー指導、イベントプロデュース・運営も手がける。プレーヤー目線で試合を切り取ることを得意とし、著書は、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』『サッカー守備DF&GK練習メニュー100』『サイドアタッカー』 『セットプレー戦術120』など多数。
●twitterID:@kaizokuhide
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