親子でチャレンジ
2014年8月 7日
配球を3つの角度に分けてあげるとボレーシュートは上達する
7月27日(日)、川崎市等々力陸上競技場で「親子で学ぶサイエンスサッカースクール 2014」(主催/東京エレクトロン株式会社)が開催されました。
サッカーを題材に「子どもたちに科学をより身近に感じてもらう」ことを目的としたこのイベントも、今年で4年目を迎え、これまでに「バナナシュート」、「弾丸シュート」、「トラップ」をテーマとして開催されてきました。2014年は「ボレーシュート」がテーマです。小学4年~6年生の児童と保護者50組100名が、NPO法人ガリレオ工房・稲田大祐先生(相模女子大学 准教授)を講師に、ゲストの中西哲生さん、福西崇史さん、宮本恒靖さん、そして伊藤宏樹さんとともにサッカーと科学の融合を体験しました。
当日は、ゲリラ豪雨の影響で、視覚的に体験するための装置を用いた科学実験プログラムは中止になってしまいましたが、ここでは予定されていたプログラムも含めてご 紹介していきましょう。(取材・文・写真/山本浩之)
■ボレーシュートとは空中に浮いたボールをシュートすること
ボレーシュートとは「ボールが地面に落ちる前の空中に浮いた状態で放つシュート」のことです。ワールドカップ・ブラジル大会のFIFAベストゴール15にも、ティム・ケーヒル選手(オーストラリア)がオランダ戦で決めた左足のダイレクトボレーや、優勝決定弾となったマリオ・ゲッツェ選手(ドイツ)の胸トラップからのボレーシュート、そして大会最優秀ゴールに選ばれたウルグアイ戦でのハメス・ロドリゲス選手(コロンビア)が決めた、振り向きざまのボレーシュートなどがランクインされています。どれも豪快でテクニカルな美しいシュートであったことは記憶にも新しいことでしょう。そんな華のあるボレーシュートのなかでも、今回はトラップをせずにシュートを打つ「ダイレクトボレーシュート」について科学しました。
■ボレーシュートを打つために知っておきたい「放物運動」とは?
ボレーシュートを狙うときには、ボールが浮いているわけですから、グラウンダーのボールよりも“高さ”を意識する必要があります。そして、受けるセンタリングやパスのボールは、直線ではなく、山なりの起動を描いて向かってきます。このときのボールの運動を「放物運動」といい、山なりの曲線を「放物線」といいます。
ボールは蹴り上げると、最初は斜め上に向かって飛びますが、やがて重力があるので上昇することができずに曲線を描きながら頂点に達します。それでもボールは慣性によって前に進もうとしますから、曲線を描きながら地面に引きつけられていきます。そして、その頂点から曲線を描きながら地面に到達するまでの時間(タイミング)は、頂点と同じ高さから真下にボールを落とした場合と同じなのです。
このことを知っていれば、練習相手がいなくてもボレーシュートの練習をすることができます。センタリングのボールをイメージして、自分でボールを真上に放り投げ、落ちてくるボールをタイミングよくダイレクトで捉える自主練習です。「この高さのセンタリングであれば、どのくらいの時間で落下する」というインパクトのタイミングを掴むためのイメージトレーニングになるわけです。