親子でチャレンジ
2015年5月22日
親はサッカーを教えられなくてもいい!まずは子育てを楽しもう[幸野健一の父親論]
■子育ては親育て
――ほかには、どのような質問をされることが多いですか?
最近多いのが「うちの子は冷めているので、ゴールを決めても喜びません。負けても悔しくないようで、見ていてもどかしいときがあります」といった内容です。ぼくが思うに、子どもに求めるのであれば、まず親の自分がそうあるべきだと思います。普段、うれしいときに喜んでいますか? 悔しがっていますか? ぼくも娘が小さい頃、娘の部屋が散らかっていたので「たまには片付けたら?」と言ったことがあります。そうしたら「パパの部屋も、ものがたくさんあって散らかっているじゃん」と言われました。たしかにそのとおりで、なにも言い返せませんでした(笑)。
――そこで我が身を振り返るわけですね。子どもと一緒に親も成長していくという。
そう思います。子育ては、親育てでもありますよね。独身のころとは違って、結婚して子どもができると、家族のためにしなければいけないことも増えていくわけです。それが人間としての成長にもつながると思います。いまでこそ偉そうなことを言っていますが、子どもが生まれた直後に、自分のサッカーの試合に行って、奥さんに呆れられたこともありました(笑)。当時はぼくも父親の役割がわかっていなくて、自分のやりたいことを押し通そうとしたわけです。奥さんや子どもとのやりとりを通じて、父親としての価値観ができてくるのだと思います。
■子育てを楽しめるのは、いまだけ
――最後に、いま子育てをしているお父さんへのメッセージをお願いします。
父親は仕事が忙しく、子どものことは母親に任せっきりになってしまうこともあるかもしれません。ですが、子どもが成長する過程で、勉強やスポーツに積極的に関わろうとする姿勢を持つことが大切だと思います。ただ、関わり方のバランスが難しく、手を出し過ぎると、子どもの自立を妨げることにもなります。ときには親がぐっと我慢をして、失敗をすることがわかっていても、手を出さずに見守るべき場面もあるわけです。子どもの成長過程に父親が関わることができる時間は、本当に短いです。だからこそ、その時間を大切にすることが、子どものためになり、自分のため、家族のためになると思います。小学生の子どもを持つお父さんには、「子育てを楽しめるのは、いまだけですよ!」とアドバイスしたいですね。