親子でチャレンジ
2016年5月26日
辞めると決めてからではなく、辞める前に相談してほしい! 日本一の街クラブのコーチに聞く"親とコーチの理想の関係"
昨年度の全日本少年サッカー大会で、街クラブながら並み居るJクラブを破り、初の日本一に輝いたレジスタFC(埼玉県)。“日本一の街クラブ”は、保護者と子ども達の関わりについて、どのような考えを持っているのでしょうか?6年生の監督を務める中城勉さんに話を訊きました。(取材・文 鈴木智之)
■自分の子どもだけでなくチーム全体を応援してくれると、コーチは嬉しい
チームとの関わり方、コーチとの距離感について、どうすればいいんだろう? と悩んでいるお父さんお母さんも多いのではないでしょうか。レジスタFCの中城監督は「親は愛情を持って、子どもの成長を願っているもの。それはわれわれコーチも同じです。そのために、サッカーを通してさまざまなアプローチをしています」と語ります。
親は、自分の子どもひとりをみていますが、コーチはそうもいきません。1学年20人なら、20人全員をみる必要があるからです。
「親の立場からすると、自分の子が一番。その気持ちはとてもよくわかります。一方で、われわれコーチは選手全員を見ています。その時点で親とコーチでは、その子に対する見方が違うんですよね。まずはその前提を共有しないと、お互いにちがう角度から物事を見ているので、話がうまく通じないこともあります。親の立場からすると『うちの子にはもっとこうしてほしい』とう要求はあると思います。ただ、サッカーはチームスポーツであり、集団で取り組むスポーツである以上、最終的にはわが子だけでなく、チーム全体を応援してもらえるとありがたいというのが正直な気持ちです」
■辞めると決めてからではなく、決める前に相談してほしい
レジスタFCでは保護者会を通じて、クラブの考えを親に届けるほか、「悩みがあれば相談してください」と伝え、コミュニケーションを密にとるように心がけていると言います。改まった「相談」ではなくても、世間話のように練習前後に話ができれば、互いの考えに触れることができ、相互理解のきっかけにもなります。
「これはどのチームでもあることだと思いますが、クラブを辞めたいと申し出る子どもや、そのお父さんお母さんに伝えたいことがあります。家族会議をして『辞める』と結論を出してから来るのではなく、結論を出す1週間前でもいいので相談に来てくれもらえれば、お互いの考えや意見を交換することができると思っているんです」
これは、サッカークラブの親とコーチという関係性だけでなく、職場でも、家族間、友人間でも当てはまることではないでしょうか。互いに向き合って話をしたところ「相手はこう考えていたのか」と理解できることが、往々にしてあります。あのときコミュニケーションをとっていれば、その後は違った展開になったかもしれないということは、どの環境でもあることです。
「親御さんと話をすると、『この人はこういう考えだったんだ』と思うこともありますし、親としても『コーチはこんなことを考えていたんだ』と感じてくれることがあると思うんですね。話をすることで意見交換ができて、前向きな結論にたどり着くこともあるわけです。大人同士なので、話をすると違った考えを吸収できる。話すことでお互いを分かりあって、子ども自身も、もう一回がんばろうという気持ちになることもある。子どものためですから、少しでもポジティブに物事が進んで、本人ががんばりたいと言うのであればぼくらも一緒にがんばりましょうと、同じ方向に進んでいくことができると思っています」
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