親子でチャレンジ

2018年6月22日

ゴミ拾いをするサポーター、助け合いの文化、日本とセネガルの意外な共通点は「おもてなしの心」

ロシアW杯で初戦のコロンビアに勝利した日本代表。グループステージの次なる相手は、アフリカ大陸の最西端にある国、セネガルだ。勝ち点3で並んだ両国の対戦は、勝った方は決勝トーナメント出場がぐっと近くなるだけに激しい戦いが予想される。

セネガル代表選手が多くプレーしているヨーロッパとの結びつきや、チーム力の高さは、意外な歴史や文化が強く反映されているという。

今回も「親子で学ぶ サッカー世界図鑑【ロシアW杯版】」「サッカー世界図鑑かるた」から、セネガルのさまざまな歴史と、サッカーについて詳しく教えちゃうよ。(提供:スクワッド、構成・文:砂坂美紀、写真:GettyImages)

【トピック1】
どんな人もおもてなしをして、助け合う『テランガ』文化の国

セネガルの人々はとても親切で、優しいのが特長だ。それは、『テランガ』という助け合いやおもてなしなどの意味を持つ文化が根付いているから。食事のときには、友人やご近所の人だけでなく、お腹を空かせていれば知らない人でさえも招いて大皿料理を共に味わうこともよくあるという。

今回のW杯でもセネガルのサポーターが試合観戦後にゴミ拾いをすすんでする姿に、世界中がおどろき、素晴らしいと話題になっているのもうなずける。

『テランガ』文化を持つ国民性を象徴しているのが、国章に描かれているバオバブの木だ。幹が太く不思議な形をした巨木は、人々が集まって木陰で休み、お互いをいたわる交流の場になってきた。木の実はスーパーフルーツとして知られ、ビタミンCやミネラルが豊富で薬になるほど栄養価が高い。バオバブの大きな木が人々を優しく見守るように、セネガル人の大きな心を育んできたともいえる。

【トピック2】
公用語はフランス語? 漁業が盛んで日本にも?

かつては、フランス領で奴隷貿易の場でもあった。統治下時代の影響は今も残り、公用語はフランス語だ。1960年に独立してセネガルの国を築いてきた。

海に面しているため、貿易や漁業がさかんだ。寒流と暖流がぶつかる大西洋の潮目が豊かな漁場では、マグロやカツオなどが獲れる。国外へも輸出が多く、タコ、イカなどは日本のスーパーにもよく並んでいる。

また、落花生の生産も世界トップクラスだ。フランス領時代に栽培が始まり、料理に使われたりピーナツオイルにしたりとよく食べられている。

キミが食べているのも、セネガル産のものがあるかも知れないよ。この機会に調べてみるのもおもしろいね。

【トピック3】
ヨーロッパのトップクラブで活躍する選手がチームの中心!

愛称は『テランガのライオン』。ライオンは国のシンボルで、ユニフォームの全面にもイラストが描かれているので、チェックしてみよう。

今回は4大会ぶりのW杯出場だ。このチームのほとんどの選手がヨーロッパの強豪クラブで活躍している。リバプールのFWサディオ・マネはじめ、トップクラブで磨いた技術力と恵まれた身体能力の高さを持ち合わせている。初戦のポーランド戦では、整った守備と組織力、速い攻撃で勝利をつかみ取った。これまでのアフリカのチームの常識を変えるほど、世界をおどろかせた。

前回出場した2002年の日韓大会は、セネガルにとってはじめてのW杯。そして、初戦の相手は、かつて国を支配されていたフランスだった。そこでたくましい戦いを見せて勝利をあげた『テランガのライオン』はその後も快進撃をみせて、ベスト8まで勝ち上がり、サッカーファンを沸かせた。その時のキャプテンは、いまのチームで監督を務めているアリウ・シセだ。再び、W杯でセネガル旋風を起こせるかにも期待がかかる。

【トピック4】
ヨーロッパ育ちの選手、幼いころに才能を見出された選手も多い

一度もセネガルに住んだことのない代表選手がいるのも、このチームの特徴だ。それは、両親がセネガル出身だけど、ヨーロッパの国で生まれ育った選手たち。ポーランド戦でゴールを決めたFWムバイ・ニャンもそのひとり。鉄壁の守備陣をまとめるDFカリドゥ・クリバリもフランス生まれ、FWケイタ・バルデはスペイン生まれだ。

セネガル生まれの選手たちも、幼いころに才能を見出されてヨーロッパのクラブで育っているケースがほとんどだ。公用語がフランス語のため、フランス語を話す国なら馴染みやすいということもある。マネもフランスのメスでデビューしている。

さまざまな国のサッカーを身につけ、幼いころからサッカーの本場でもまれてきた選手たちは、技術も戦術理解度も高い。それに、元々持っているスピードやパワーなど身体能力の高さもある。

日本戦でも、『テランガのライオン』が強烈な牙をむくことだろう。お互いを思う精神、能力の高さで、巧みな試合運びをしてくるに違いない。それに日本代表の選手たちがどう対応していくのか、どこを突いて戦うのか、キックオフがいまから待ち遠しい。

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