運動能力

2010年12月 6日

【第2回】子どもに間違ったトレーニングをさせていませんか? U12世代のフィジカルトレーニング

■重要なのは「コーディネーション能力」

サッカーキッズの親同士の会話を聞いていると、うちの子はゴムチューブを使ってキック力を鍛えさせている、などといった話もよく耳にします。発育発達の観点からは、筋系よりも神経系のトレーニングが重要であるということを前回お伝えしました。では、サッカーにおけるU12のトレーニングはどうなのでしょうか。再び立教大学の沼澤先生に、日本サッカー協会フィジカルプロジェクト委員としてのコメントをいただきました。

「日本サッカー協会が行っているコーチ養成のカリキュラムでも、U12で養う体力要素を 1」コーディネーション能力 2」持久力 3」柔軟性 としており、筋力あるいは筋肉については扱っていません。
ここで出てきた耳慣れない言葉である"コーディネーション能力"とは、筋の協調性あるいは体力の要素でいうと「調整力」と言い換えられると思います。文献では、コーディネーション能力を以下の7つの能力に分類しているものがあります」

  1. 定位能力:自分と周囲との関係を正確に決める能力
  2. 変換能力:急な状況の変化に対して適切な動作で対応する能力
  3. リズム能力:調和の取れた動き,イメージ通りの動きを作りタイミングを合わせられる能力
  4. 反応能力:ひとつないし複数の情報に対して素早く正確な対応動作を可能にする能力
  5. バランス能力:空中や動いているときの全身バランス維持したり、崩れた体勢を素早く回復させる能力
  6. 連結能力:身体の筋肉や関節の動きをタイミングよくスムーズに同調させる能力
  7. 選別能力:ボールなどを操るときに足、手、目の協調をスムーズに行う能力


「これらのコーディネーション能力をサッカーのシーンにたとえれば、ボールの扱いがうまい子は、動いている相手との距離感を正確に捉える"定位能力"とボールを正確にコントロールできる"選別能力"に優れており、プレースピードのある子は、合図や笛に即座に反応する"反応能力"と体をうまく同調させる"連結能力"、そして素早い切り替えができる"変換能力"に優れていると言えます。

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