運動能力
2011年11月24日
【コンディショニング第8回】「O脚」「X脚」のチェック方法とスポーツ障害の可能性
皆さん、こんにちは。前回、「自宅で出来る姿勢チェック」についてお話させて頂きました。実際にお子様とご一緒にチェックされましたか?前回は立ったまま止まった姿勢でのチェックでした。「良い姿勢で立ってごらん」とは決して言わず、自然体で是非チェックをしてあげて下さい。身体の使い方、姿勢イメージの捉え方、日常生活の過ごし方などが見えてきます。姿勢チェックが出来たら次は日頃の座り方、歩き方をチェックしましょう。
■「O脚」「X脚」はスポーツ障害を引き起こす可能性も
止まった姿勢でのチェックから予測した筋肉のバランスや身体の使い方などが実際の身体を動かしている状態でチェックをすることで、スポーツ障害の可能性をより正確に捉える事が出来ます。
例えば歩行時に膝が内側に入るような歩き方はいわゆる「内股」ですね。こうした膝のアライメントは「X脚」または「外反膝」(がいはんしつ)と呼ばれています。男の子よりも女の子に多く、特に思春期を迎えた女の子ではこのX脚が増えます。女子サッカー選手をお持ちの親御さんは気をつけて姿勢チェックと動きのチェックをしてあげて下さいね。X脚のアライメントを持つ選手では、膝の内側にストレスがかかりやすくなり、内側側副靭帯の炎症、または内側の半月板の損傷が起こりやすいと考えられます。また膝の外側からチャージされると膝関節の内側の捻挫を引き起こす可能性も高まります。
逆にサッカー選手に多いと言われる「ガニ股」、「O脚(内半膝)」です。これは膝を閉じさせようとすると足首から膝関節にかけて隙間が空いてしまうもので、皆さんも良く知っているチェック法ですね。このO脚の選手が歩いたり、走ったりする際には脚を外側からスイングさせるように前に踏み出します。踏み込んだ際の力が膝の外側にかかりやすいことから「内反捻挫」や「外側側副靭帯の損傷」などに繋がる可能性があるのです。
「歩き方や走り方をチェックするのはどうも難しい」と思われる方は以前取り上げた「スクワット」をお子さんに勧めてみて下さい。「スクワット」は、足幅を肩幅程度に拡げ、ゆっくりと膝を曲げながら腰を降ろします。降ろす際に膝が内側に曲がったり、もしくは腰を降ろした後、立ちあがる際に膝が入るようであればX脚の可能性があります。これは太股の外側、内側の筋肉のアンバランスが原因です。これを「Knee-in」と言います。交互に大きく片足を踏み出し、前方に進む「ランジ・ウォーク」でも、この「Knee-in」が確認出来ます。
↑「ランジ・ウォーク」で踏み出す脚の膝が内側に入れば「スクワット」と同様の判断が出来ます。
■日常生活の中から身体の動きをチェックしてみよう
「姿勢チェック」、「動きの中でのチェック」から見られたエラーは筋力トレーニングやストレッチで修正することで大きなスポーツ障害を予防出来ます。
最近は少年サッカーも練習時間や量が調整され、オーバーユース予防が随分広められましたが、まだまだ少年期のオスグッド・シュラッター病や疲労骨折は後を絶ちません。オズグッド・シュラッター病も疲労骨折も膝関節や足首の可動域をストレッチや動きの中で予兆を発見することが出来ます。
練習後のケアが不十分だったため、局部的にストレスがかかる太股前部(大腿四頭筋)やふくらはぎ(下腿三頭筋)、または脛(すね)の部分(前脛部)の筋肉や骨膜が硬くなり、炎症を起こすことによって痛みが生じます。この状態のまま、練習を休まずに繰り返し局所的に酷使すると、炎症を起こしている部位がもろくなり、金属疲労のような症状を引き起こします。これが「疲労骨折」です。これらも前述したアライメントから見えるエラーによって予防策を立てることが出来ます。
エラーの起こる部位は運動時のストレスが局所的にかかっていることを教えてくれます。エラーの修正や怪我の回復のためには充分な栄養と休養、そしてエラーに基づいた修正プログラムの実施が大切です。
日常生活の中から歩く際の足の床へのつき方や膝の向いている方向などを観察してみて下さい。簡単でしかも確実にスポーツ障害予防に繋がる方法です。
江上猛//
えがみたけし ストレングス&コンディショニングを専門とするコンディショニングトレーナー。 福岡県筑後市にてセミパーソナルトレーニングシステム主体のトレーニングジムK2ATT(カット)経営。子どもから高齢者、競技選手にいたる幅広い年齢層とニーズに応じたトレーニング指導を行なうほか、本場中国武術を伝授し、普及活動を行うほか、中国武術を用いた身体操作法や独自のコンディショニング法により、体力増強や競技力向上でも高い評価を得ている。 また、一般社団法人ウェルネスJAPAN教育研修事業部チーフとして、スポーツ指導者、トレーナーのスキルアップ、及びスポーツ現場におけるスポーツ傷害予防を目的としたスポーツ医学やスポーツ科学に基づいた指導法を普及させる活動、セミナー活動も行なっている。
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