運動能力
2013年2月14日
どの筋肉が伸びているか?を意識してやろう! 今日からできるアクティブ・ストレッチ
日本代表の並木磨去光トレーナーに聞くパフォーマンスアップのためのストレッチ。今回はアクティブストレッチについて教えてもらっています。実際にいくつかアクティブストレッチを紹介してもらいながら、その効果やポイントをお聞きしましょう。
<<ケガの予防とパフォーマンスアップに役立つ、アクティブ・ストレッチとは?
「アクティブストレッチの前にスタティックなストレッチをひとつ紹介しましょう。みなさんもやったことがあるのではないでしょうか? 太もも前を伸ばすストレッチです。写真左は正しいフォームで行われているのですが、多くの人は足首を持つことに意識がいって写真右のように、ひざ頭が外を向いてしまいます。これでは肝心の太もも前は少しも伸びていませんよね。このように、ストレッチは正しい動きをしないと効果が出ません。よく知られているストレッチの中にも、間違った動きをしていて『それ意味ないよ』というものも少なくないのです」
並木さんがトレーニング指導するアンダーカテゴリーの日本代表では、スタティックストレッチは各自が集合前にホテルでやってくるのだそうです。全体でやるのは練習に入っていくためのアクティブストレッチ。
「自分の身体をまずしっかり管理できることも大切ですよね。少し自分でおかしいなと思うところがあれば、全体練習の前にストレッチで伸ばしておく、小さいうちからこういう感覚を養っておくことはとても大切なことです」
さて、次からはいよいよアクティブストレッチ実践編です。
■股関節のアクティブストレッチ
一つ目は股関節のアクティブストレッチです。
写真左のように手を上げて前に出した方の太ももが地面と平行になるようにします。この状態で前後に身体を動かしましょう。このとき、お尻に力を入れて身体の軸をぶらさないことが大切です。
アクティブストレッチは軽く勢いをつけながらやるストレッチですので、写真の動きで静止しているわけではありません。前後に動きながら筋肉を伸ばしていきます。
写真右は悪い例。腰が引けて前傾に姿勢になってしまっています。これでは期待した効果は望めません。
■ふくらはぎのアクティブストレッチ
二つ目はサッカー選手なら自然と鍛えられる、ふくらはぎのストレッチです。写真上のように両手両足をついた状態がスタートポジションです。
ここから片足をできるだけ高く上げて、またゆっくり下ろしてきます。地面すれすれまで下ろしたら再び上に。これを繰り返します。
■お尻のアクティブストレッチ
三つ目は少し変わっていますが、お尻のストレッチです。お尻は疲れていると硬くなる筋肉のひとつです。またお尻がどっしりとしていると言うことは体幹の土台がしっかりしているということです。
写真左のように両手を正面で組んで片足をもう一方の足のヒザにくっつけます。片足立ちの状態から屈伸をして、写真右のように、ももが地面と平行になるくらいまで沈み込みます。これを数回繰り返すのですが、これは相当きついですよ。
■サイドランジ
次も手を正面で組んだまま。今度は左右に動きます。反復横跳びではありませんから、早く動く必要はありません。ゆっくりでいいですから、しっかり身体を沈み込ませてください。これは内転筋とお尻が伸びるアクティブストレッチです。
サイドランジの発展系で、足をクロスさせるものもあります。前足側のお尻を伸ばすのに効果的ですね。つま先をしっかりと正面に向けて体重を乗せるようにしてください。上半身はまっすぐ。背中も意識していい姿勢を保ちましょう。
並木さんから代表的なアクティブストレッチを紹介してもらいました。写真で見るとそんなに大変そうではありませんが、これを動きながらやるとなると相当な負荷がかかります。アクティブストレッチの目的はあくまでもウォーミングアップで身体のエンジンをかけることですが、こうした動きを反復することで、股関節の使い方や体幹の使い方、筋肉に負担をかけない身体のこなし方などが身につくそうです。
「一番大切なのはどこが伸びているか意識すること」
並木さんは最後にストレッチの極意を教えてくれました。どんなに優れたメニューや形を教わっても、自分が伸ばしている部分に意識を集中しないと効果も薄いのだそうです。ストレッチをすることは自分の身体と対話すること。ただこなすだけでなく、自分の身体の調子や状態コンディションを考えながらストレッチをしましょう。
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並木磨去光 //
なみき・まさみつ
日本代表アスレチックトレーナー。スポーツマッサージ・ナズー代表。トレーナーとしてW杯、五輪日本代表をサポート。ケガ人の治療、マッサージによる疲労の回復、コンディショニング、リハビリテーションなどを担当。今年行われたAFC U-16選手権では久しぶりにアンダーカテゴリーのトレーナーを担当。チームの準優勝、2013年に行われるU-17W杯出場権獲得に貢献した。
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