運動能力
2013年2月20日
しなやかな「サッカーで使える筋肉」作り――元横浜Fマリノスの遠藤彰弘さんが教えるトレーニング
- 柱などにつかまり、しゃがんだ状態でお尻を上下に5センチずつほど小刻みに揺する。10回くらい
- 続けていると、すねの辺りが張ってパンパンになってくるので、しゃがんだ状態のままお尻を止めてしばらく我慢する
- ストレッチを行う。その場に正座し、上半身を後ろへ倒していく。体が柔らかい人の場合は背中が地面に着き、ひざを曲げたまま仰向けに寝る形になる。①~③を5セットくらい行う
【注意点】
足のつま先を真っすぐ前へ向ける。つま先が外側に開いたり、内側に閉じたりしないようにする
ひざを手で押さえないように、手を離して行う
回数やセット数はだいたいの目安。筋肉がパンパンになったら、ストレッチしてほぐす
遠藤さんの筋トレには基本的なコンセプトがあります。
「僕の筋トレの方針として、子どものうちは何かおもりを持ち上げたり、無理して何かを引っ張らせるということはやりません。自重(自分の体重)による負荷をかけるだけです。子どもは身長も体重もどんどん変わっていくので、そのときの体に合った自然の負荷を使えば十分だと思います。高校生でもプロでも、僕は基本的にこのようなスタンスです。本当に試合で使える筋肉があればいいわけで、むやみに鍛えた太いだけの筋肉は重りになってしまう。実戦に向いた、しなやかな筋肉を作りたいので、筋トレをしたら筋肉が固まらないようにすぐにストレッチをします」
よりしなやかな筋肉を作るために、家でできることもあります。
「お風呂の中で足先をバタバタさせるのもいいと思います。湯船に浸かってやってもいいし、足湯のように座ってやってもOKです。思いっきり蹴るイメージではなく、流れに任せるイメージでやりましょう。サッカーでキックをするとき、股関節やひざの動きも関係ありますが、最後に蹴る瞬間にはすねや足の先でどれだけ力を加えられるかが大事。ボールを投げるときに手首のスナップを使うように、足先をしなやかに使ってボールに力を加えるイメージです」
また、遠藤さんはより"使える筋肉"にするため、トレーニングをした後にもこだわりがあります。
「グラウンドでやるときは、しゃがんで筋肉がパンパンになった状態から手を叩き、30メートルくらい走らせます。あるいは筋トレの後にボールを蹴らせると、実際にその筋肉を使ってキックしていることを実感できると思います。単純な筋トレで終わらないように、サッカーのプレーにつながっていく要素を入れたいので、スクワットでパンパンになったら乳酸が溜まった状態であえて走ったり蹴ったりします。試合中にも必ず乳酸が溜まるので、その状態でどれだけ1歩を出せるかが大事です」
遠藤彰弘//
えんどう・あきひろ
1994年にJリーグの横浜マリノス(後の横浜F・マリノス)に入団。2004年には中村俊輔の移籍で空いた10番も付けたが、2005年には故障に加え、補強選手や若手の台頭もあって出場機会が激減。7月にヴィッセル神戸に完全移籍した。2008年に契約満了で退団後、5月13日に引退を発表。「マイアミの奇跡」で知られる1996年アトランタオリンピックのU-23日本代表では、背番号10を背負った。実弟はガンバ大阪に所属している遠藤保仁。現在は財団法人日本サッカー協会公認B級コーチライセンスを取得し、一般社団法人Jリーグ選手OB会の理事を務めながら、株式会社11asideに所属し、指導者として国内外で活躍中。