運動能力
2014年7月25日
猫背でもいい!? 子どもにとって自然な姿勢とは
部屋の中に緑色のものはありますか? 次は青、その次はオレンジ、最後に茶色を探してみましょう。
では次に、首を動かして周りを確認してください。あなたの周囲には何がありますか?
このふたつの問いかけ で、自分の動きに違いがあるのがわかりますか? 動作自体は同じはずなのに、スムーズさが違います。この差が「緊張」しているか、いないかです。恐らくみなさんは、色を探す方が自然だったと思います。これは「緊張」せずに、楽に動けている状態です。
取材・文:中村僚 写真/田川秀之
■子どもの身体に緊張を与えない声のかけ方とは
「色を見つける」ということは、はじめに動き出すのは目です。「○色はどこ?」という問いが最初に芽生え、「首を振る」動作はその後です。「色を探す」ために「首を振る」のであって、動作そのものに意識はありません。これが「緊張」から解かれている状態です。
一方で、「首を振って」と言われれば、最初に「首を振る」動作に意識がいきます。目的がなく「首を振る」ことが最初にきてしまえば、それが「緊張」を起こす原因になるのです。
さて、このときの動きの違いを人体で説明すると、背骨の動きです。背骨は脊椎と椎間板で構成されています。いくつもの脊椎がくっついて長いひとつの骨を構成しており、脊椎と脊椎の緩衝剤の役割を果たしているのが椎間板です。そして「緊張している」とは、この椎間板が圧迫されている状態のことです。
頭と脊椎は、動きの質のすべてを決めてしまいます。そこが自由になっていれば、手足も自由に動きます。逆に固まってしまえば、全体の動きは固まってしまいます。椎間板が潰れてしまえば脊椎同士の距離が縮まり、曲がる可動域が狭くなります。これが「緊張している」状態です。椎間板が本来の間隔を取り戻せば、曲がる可動域が広くなります。これが自由な状態です。
自由な状態だと、動きは先端から始まり、徐々に後端まで伝達されていきます。伝達時間はほんの一瞬ですが、徐々に伝達されていくということは、途中の方向転換が可能なのです。対して緊張している場合は、先端から後端までの距離が短く、初動が伝わるのが早くなります。そうなると動きの自由さやスムーズさはなくなり、方向転換には大きな力が必要になってしまうのです。