運動能力
2014年9月29日
ふくらはぎが疲れやすいのは走り方に問題あり!?
中高生のサッカー部員向けフリーマガジン「Spike!」には、連日読者の中高生プレーヤー達から多くの質問が寄せられます。今回はその中から小学生年代で身に付けておいた方がよい「走り」や「動き」に関する内容を紹介します。
質問に答えてくださったのは、ジュニアからトップチームまで長年指導に携わってきたヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチ谷真一郎さん。ぜひ参考にしてみてください。
<質問>
ふくらはぎの筋肉について。 僕はサッカーをした後に一番ふくらはぎが疲れます。これまで、多くのサッカーの身体に関連する書籍を読んできて、ふくらはぎの筋肉はあまり使わない方が良いと書いてありました。どうすれば、ふくらはぎを使わずにハムストリング(太腿の裏の筋肉)などの体の後ろの筋肉を使ってプレーできるのでしょうか?
<回答>
■足首をロックするためにふくらはぎを使う
ふくらはぎの筋肉の役割は足首を伸展させること。ふくらはぎの筋肉が疲れやすいということは過剰に足首を伸展させようとしている可能性があります。
足首を過剰に伸展させるということは、走ったり、方向を変えたりする時に「地面を蹴って」進もうとし過ぎているという事です。実際には、走ったり、方向を変えたりする時のエネルギーは「地面を押す」ことによって、地面から跳ね返ってくる地面反力を受け取ることによって得られます。
足を地面に接地した時に足首が屈曲して動きにタメ(動きが遅くなる=無駄な時間)ができてしまわないように、足首をロック(固定)するためにふくらはぎの筋肉を使います。
※地上を最速で走るスプリンターの接地を分析してみると、地面に足を着いてから離れるまで、膝も足首も角度は変わっていません。つまり、膝と足首をロックしてタメを作らないように接地しているということです。また、蹴る意識が強いと接地後に脚が後ろに流れ易くなり、次の動作への遅れが生じてしまいます。
■地面を押してエネルギーを得る
地面を蹴って進もうとすると、足の先端に意識が集中してしまいますが、効率的に動くためには、股関節から下半身を動かす意識で脚を運び、進行方向に対して大きな地面反力を得られるように接地し、タメができないように足首をロックした状態で地面を押してエネルギーを得ます。
「蹴って進む」から「地面を押してエネルギーを得る」意識に変える!この原理を理解して動けるようになってくると、ふくらはぎの筋肉の疲労感はかなり軽減されてきますよ!
谷真一郎(たに・しんいちろう)
愛知県立西春高校から筑波大学に進学し、蹴球部に在籍。在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。 引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年よりヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。 『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』
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