運動能力
2015年9月28日
【練習動画つき】「一生懸命走りなさい」はNG!子供の走り方がグッと良くなるアドバイス方法
■100%で走ると足は遅くなる!?
次に、谷コーチはこんなふうに子どもたちに問いかけました。
「みんなは速く走りたいときに何%の力で走る?」
子どもたちが即座に「100%!」と答えます。すると谷コーチが次々に問いかけました。
「じゃあ、まずは50%で走ってみよう」
「次に60%だとどうかな?」
「じゃあもう少しスピードアップして70%で走ってみよう」
子どもたちが走り終わると、谷コーチが再び問いかけました。
「何%のときが一番身体を楽に、速く動かすことができたかな?」
すると子どもたちからは「70%!」という答えが元気よく返ってきました。
谷コーチがにっこりと微笑みます。
「みんな、走るときは100%の力を出して全力で走らなくていいんだよ。全力で走ると身体が力んで逆にスピードが遅くなっちゃうんだ。みんながいま一番速いと感じたパーセンテージの力で、気持ちよく、楽に走るのが一番速く走れるんだよ」
「陸上選手のウサイン・ボルト選手は知っている? 100メートル走のスタート前に、手や足をぶらぶらさせてリラックスしているでしょう? 速く走れる人は、力むことが走るときの天敵だということを知っているんだ」
子どもたちはまた、うんうん、と頷いている様子でした。
■フライパンの上を走っているようなイメージを持とう
最後に、谷コーチが使った魔法のフレーズが「フライパン」でした。
準備したのは、50センチ間隔に置かれた6つのミニハードル。このミニハードルを子どもたちに走ってもらうのですが、ここで谷コーチが子どもたちにこう伝えました。
「このミニハードルの間は全部フライパンになっています。足下が熱いので気をつけてください」
「ゆっくりと足をつけてしまうと、ヤケドしちゃうので気をつけようね」
子どもたちは驚いたような、喜んだような表情を浮かべながら、はしゃぐようにミニハードルを次々と飛び越えていきます。
するとどうでしょう。子どもたちの太ももがしっかりと上がり、グングンと前へ進んでいくような推進力をもった走り方に変わっていったのです。
「下を向かないように、周りを見ながらだよ」
「気持ちよく走ろうね」
「腕もしっかりとまっすぐ前後に振ろう」
谷コーチの言葉に子どもたちも反応します。別のコーチがコートの隅から、パン! パン! パン! パン! というように手拍子を加えると、子どもたちはさらにリズムよく走れているようでした。
3つのポイントを抑えるだけにみるみると走りが変わっていた子どもたち。谷コーチは最後に、子どもたちの父母たちにこんなメッセージを付け加えました。
「今までこういう動き方をしていなかったと思うので、ゼロが1になる、そのきっかけを掴むだけでも大きいと思います。ただ、いきなり全員が全員、理想的な動きを身につけられるわけではありません。大事なのはちょっとしたきっかけ掴んだこれから。お父さんやお母さんたちが、子どもたちにもわかりやすい言葉で伝えてあげてくださいね」
「どうしても自分の子どもには『もっと全力で走りなさい!』と怒ってしまうものですが、それでは力んでしまって、逆にスピードが落ちることがわかったと思います。親御さんが子どもたちの走りをしっかりとみながら、しっかりとポイントを指摘して直してあげるように心がけてください。後天的なトレーニングで子どもの走りは確実に速くなりますよ」