運動能力
2015年11月26日
空き缶を踏みつぶすイメージで地面を蹴ると、足は速くなる!!
サッカーは5メートル、10メートルの勝負で相手よりも先んじることができれば、それだけで有利になるスポーツです。
このときに重要になるのが、「初速の速さ」。
ゼロの状態から一気にスピードをアップして、さらにグングンとスピードを上げていくためにはどうすればよいのでしょうか。
200メートルハードルアジア最高記録・日本記録保持者であり、現在はプロスプリントコーチ・モデル・アスリートタレントとしてテレビなどでも活躍する走りのプロ、秋本真吾さんに話を聞きました。(取材・文 杜乃伍真 企画協力 ナイキジャパン 撮影協力フットサルパーク吉祥寺)
■サッカー選手の加速力は、腕の振りがキモ
「サッカー界ではラダートレーニングが主流になっていますが、ラダーは足の動きに注意がいきがちです。たしかに足のつく位置や運び方も大切ですが、走りを速くするためには腕の振りが不可欠です」
秋本さんは、腕を振って走れているサッカー選手について、こんな印象を持つと言います。
「一歩、二歩の動き出しをするときの腕の使い方が大きいので、どんどん加速してスピードに乗っていく印象があります。上半身がうまく使えている選手は足が速い、という相関関係はあると思いますね」
また、秋本さんは「腕を振るときに大事なのが(根幹となる)胴体です」と指摘します。
「クリスティアーノ・ロナウド選手や日本代表で活躍する山口蛍選手らは胴体がぶれないから、しっかりした走りになっています。先日あるイベントで、小学生のときに100メートルを11.7秒という歴代記録を持つ山本慎吾さんと一緒になる機会があり、『どんな練習をしていたんですか?』と質問すると『水泳をやっていて、当時のコーチに、胴体はぶらさずに固定して腕を使うように、と言われたので、それを走るときにも意識していました』と話されていたんです。つまり、良い姿勢があって、そこにしっかりとした腕の振りがくっついてきたときに走りの速さに繋がるということ。これは、どの種目にも共通して言えることだと思います」
■振り上げる足の高さが大切
では、腕をしっかりと振れるようになるトレーニングとはどういうものなのでしょうか。
「マーカーやミニハードルを使ったよいトレーニングがあるのでぜひ参考にしてください。マーカーを足長(足の長さ)で測って、腕を振らないといけないような距離を設定するんです。すると自然と腕が振れるようになっていきます」
秋本真吾直伝!! 足が速くなるマーカートレーニング
秋本真吾が実演!速く走れない走り方その1
秋本真吾が実演!速く走れない走り方その2
■空き缶を踏みつぶすイメージで地面を蹴る
このときに気を付けないといけないのは「足の高さ」です。
「足を高い位置まで上げて落とすこと。難しい言葉でいえば、足を高く上げたことによる位置エネルギーを、下へと振り下ろすことによって生まれる運動エネルギーに変えて、それを進行方向へのパワーにします。ラダーの場合は、足が低い位置のままでトレーニングしがちですが、マーカーやミニハードルで行うときのトレーニングでは足の高さを意識してください」
足を高く上げてから振り下ろすときにも注意が必要。空き缶を上から踏み潰すようなイメージを持つといいと秋本さんは言います。
「空き缶を上から踏み潰すイメージを持って、足を着地させるときは“かかとが潰れないように”すこし浮かせるようにしてください。そうすれば、アキレス腱の伸縮を使えるので、無駄に筋肉を酷使することなく、走りにポンポンと弾むような動きが生まれてくるのです」
秋本真吾が実演!足が速くなるマーカートレーニング(歩幅広め)
正しいトレーニングの方法は動画などのとおりですが、実際にお父さんやお母さん子どもの走り方をみて、正しいフォームかどうかを判断するのは難しいもの。肉眼では動作が速すぎてよくわからないこともあるでしょう。
「お父さんやお母さんにはやはり動画を撮影してもらって、子どもと一緒になって、良い例と悪い例を比較するとわかりやすいと思います。まずは動きのチェックをしながらフォームを定着させていくことが大事。そのあとの段階として、足の回転数をあげることを目標にしてください。お父さんやお母さんがリズムよく、パン! パン! パン! パン! と手拍子を入れてあげると、子どもは自然と音に合わせるように走りだすのでテンポがあがります。このとき、スピードがあがってくると、たとえば足を上から下へ踏み潰すようなフォームではなく、上から鋭角に、つま先から前へ突っ込むように着地してしまうこともあります。しかしそれでは上から生まれる運動エネルギーをうまく地面に伝えることができていません。その場合は、動画で確認して、しっかりとフォームを修正するように意識してください。修正の繰り返しによって、テンポをあげても正しいフォームの速い走り方ができるようになっているはずです」
最後に、秋本さんはこう注意を促します。
「大事なのは、速くなった走りをサッカーに生かすことです。サッカーでは相手のタックルを受けることもあるなかで、速い走りをピッチ上で生かしていかなければいけません。トレーニングをするときにも、常にサッカーへどうリンクさせていくのかを意識することがとても大事です」
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