運動能力
2017年11月21日
元スペイン1部のトレーナー直伝!イメージ通りのプレーをするための骨盤と背中のトレーニング
近年は、少年サッカーの年代でもフィジカルトレーニングを行うチームもありますが、本当にジュニア年代から体幹トレーニングをした方が強い身体を作ることができるのでしょうか。
前回は、ジュニア年代での体幹トレーニングが必要なのか、サッカー強豪国の一つ、スペインではU-12世代でトレーニングをしているのかをスペイン1部リーグの名門、RCDエスパニョールやベガルタ仙台でトレーナーを務めていたアスレティック・トレーナーの松井真弥さんに伺いました。
今回は、身体の動きをスムースにして素早い動きを可能にするためには身体を連動させる事、背中を使えるようにするトレーニングを教えていただいたのでご紹介します。(取材・文:原山裕平)
前回の内容でお伝えしたように、動きをスムーズにするためには、筋力だけではなく、身体を連動させる事。そのために大事なのは、「骨盤」と「背骨」になります。
今回はそのふたつのポイントを強化するうえで効果的な3つのトレーニングを動画とともにレクチャーしていきます。記事の最後で動き方の動画を紹介しますので、ぜひご覧になって試してみてください。
■背中に刺激を与える
背中に刺激を与えるために有効なのが、フライングバックトレーニングです。やり方は肩幅くらいに足を広げて、腰を少し反り、そのまま顔を上にあげて、身体を前方に倒します。腰の上にボールを乗せているようなイメージを持つのがポイントです。
その状態を保つと、太ももの裏と背中が張ってきます。そこでひざを少し曲げて、その状態で手を前に伸ばします。その際に手のひらを外側に向けて、小指が上にくる形を取ります。
伸ばした手を、ゆっくりと耳の高さまで上げ、再び元の位置にまで下げます。その上下動を繰り返すことで、背中に刺激が加わります。10回×3セットをめどに、取り組みましょう。
■背骨の動きをスムースにすることは、体幹トレーニングと同じ
背骨を思うように動かすことは、パフォーマンスの質の向上につながります。背骨には『前に曲げる』『後ろに反る』『左に反る』『右に反る』『左にひねる』『右にひねる』と6方向の動きがあり、その動きをスムーズにすることが、体幹トレーニングの代わりになると、松井さんは言います。
トレーニングのやり方は、まず背筋を伸ばした状態で身体を前に曲げる、そしてそのまま後ろに反る。この動作を繰り返しましょう。
背骨を左右に反らすトレーニングは、手を頭の上に置いた状態で、身体を左右にひねります。その際に注意しなければいけないのが、身体を縮めた側の足を浮かすこと。つまり、伸びている側の足に重心をかけることになります。
最後に、背骨を左右にひねるトレーニングは、肩幅くらいに足を広げ、良い姿勢を保ったまま、後ろに身体をひねります。ここではひねる側の足に重心をかけるのがポイントとなります。いずれも無理のない回数を、バランスよく行いましょう。
■骨盤と背中の動きを柔らかくする
最後に、骨盤と背中の動きを柔らかくするトレーニングです。これはアップやクールダウンの代わりとして取り入れるのが効果的です。
やり方は身体の力を抜き、ステップを踏みながら、肩を上下に動かすだけですが、ポイントは股関節を上下に動かしながら肩の動きと上手く同調させることです。
またこのトレーニングは骨盤と背中の動きを柔らかくするだけでなく、初動や方向転換(切り返しやターン)の際に、足に無駄な力をかけずに、スムースな身体の動きを身に付けることにも役立ちます。
一か所だけを動かすのではなく、連動させることで体の一部分だけに負荷がかかることを防ぎ、腰や肩の緊張を解きます。これは、デスクワークなどで肩こりや腰痛を抱える親御さんにも推奨したいエクササイズですので、ぜひ親子でチャレンジしてみてください。
次回はターンの回転を速くするのに重要な、股関節の動きをスムースにするエクササイズをご紹介します。こちらもサッカーをしているお子さんはもちろん、運動不足の大人の健康促進にも効果がある動きですのでお楽しみに。