運動能力
2018年3月19日
ひざを曲げると遅くなる!オフ・ザ・ボールのスピードをアップするタニラダーのレッスン(2)
藤枝順心高校時代はキャプテンとして全国優勝を経験し、年代別代表にも選ばれた黒崎優香選手。アメリカのケンタッキー大学でプレーし(取材当時)、ハイレベルなアメリカサッカーで揉まれる黒崎選手は、体格に優れた相手と戦うために「スピード」の重要性を痛感しています。そこで2017年末の帰国時に、フィジカル・コンディショニングコーチの谷真一郎氏にコンタクトをとり、スピードアップトレーニングを実施しました。ここでは前編に続き、「サッカーのプレーに直結するスピードアップトレーニング」の一部をレポートします。(取材・文:鈴木智之)
■地面反力を得るための最適な足幅を知ろう
記事前編では、正しい走り方、姿勢などを意識することで、20m走のタイムが0.3秒上がったことを紹介しました。走り方も明らかに変わり、谷さんも「躍動感が出てきた」と好感触の様子。ここからは直線的なスピードに加えて、サイドステップや前後のステップに取り組んでいきます。
サッカーの試合中、ボールを持ってプレーしているのはほんのわずかの時間に過ぎません。試合の大半が相手のボールを奪いに行く、味方をサポートするなど、ボールを持っていない状態で素早く方向を変えたり、走ったりします。素早く動くためにはスムーズな足運びやステップワークが必要で、その動きは速く走るときの動きとイコールでもあります。
ステップを踏み変えて、前後、左右に素早く動くために重要になるのが『地面に対する足のつき方』です。前編で紹介したスピードアップのトレーニング同様、ひざを曲げすぎない角度を作り、拇指球と肩のラインを一直線にした状態で地面を押します。なぜひざを曲げすぎないかというと、クッションの働きが生まれて上体が沈む分、スピードをロスしてしまうからです。
そして、ここでのポイントは「ターンをするときの、適切な足幅を知ること」。その理由を谷さんは次のように説明します。
「足の幅によって、地面から受け取る力が変わります。つまり、地面反力をもっとも得られる位置に足をつくと、地面を通してパワーを得ることができるので、反動がついて速く動くことができるようになります。足をつくときに、靴一足分違うと、受け取る力も変わってくるので、グラウンドの状態によって調整してみてください」
黒崎選手はもっとも地面反力を受けやすい足幅を探し、足を広げて力強く踏み込んでいきます。足幅を調整することで、動きにスピードと力強さが増していきます。そして、拇指球とかかとを結んだ足裏の「内側のアーチ」で地面を押すことにより、大きな地面反力を得ることができます。