運動能力
2020年8月26日
サッカー選手のリカバリー・怪我予防にもつながる!プロ25チームが採用するストレッチ器具
お家で過ごす時間が増えたことで注目を集めているストレッチ。実は、サッカー選手にとっても大切で、プロの間ではトレーニングの一環として積極的に取り入れられています。
今回は、体が硬くても効果的なストレッチができるとして、日本や欧州のプロサッカーリーグ25チームで導入されているストレッチ器具「フレックスクッション」をご紹介します。
お話を伺ったのは、なでしこジャパン 兼U-19日本女子代表のフィジカルコーチであり、ご自身が設立したジムで多くのプロアスリートを指導している大塚慶輔さん。フレックスクッションを使ってプロ選手を指導されている大塚さんに、サッカーにおけるストレッチの重要性と「フレックスクッション」を使うメリットについてお聞きしました。
疲労回復が思うようにできずいつも疲れが溜まった状態でプレーしている、リカバリーにしっかりと取り組みたいといった人はぜひ参考にしてください。(サカイク編集部)
ケガや疲れのリスクを減らす練習後のストレッチ
毎日、サッカーの練習に励んでいる子どもたち。熱心な姿勢は素晴らしいことですが、ハードな練習が続くと、知らずしらずのうちに疲労が溜まっていきます。それがケガのもとになったり、痛みが長引いた結果、長期間サッカーができなくなるケースもあります。
そうならないために、個人でできる対策がストレッチです。
大宮アルディージャのフィジカルコーチを務める大塚慶輔さんは、ジュニア年代の選手がストレッチを入念にした方が良い理由を、次のように説明します。
多くのプロ選手を指導する大塚慶輔氏。サッカーにおけるストレッチの重要性を教えていただきました。(オンラインにて取材)
「成長期に入ると、最初に骨が伸び、その後に筋肉がついてくる形で成長します。骨と筋肉の成長には時差があり、それがオスグッド(成長痛)という形で表出します。成長期に骨が伸びるタイミングで、筋肉の柔軟性を確保しておくことは、ケガや痛みの予防になります」
ケガが原因で大好きなサッカーが続けられない、楽しめない状況は避けたいもの。日々わずかな時間でも良いので、身体のケアをすることで、ケガや痛みのリスクを軽減することができます。
身体のケアを手軽にできる手段が、ストレッチなのです。
ストレッチには「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」と呼ばれるものがあります。おなじみなのは、前屈や開脚、アキレス腱や太ももを伸ばすといった「静的ストレッチ」です。
「練習や試合後の静的ストレッチは、疲労を翌日に残さないために行うものです。練習後に太ももの前側を伸ばしたり、股関節周りを動かすなどして、サッカーのプレー中によく使う部位をケアしていきます。激しいプレーをすると、筋肉を何度も使うことになるので、収縮して固まってしまいます。そのまま放っておくと筋肉が固くなってしまうので、ストレッチをして筋肉を伸ばし、可動域を広げるために行います」
サッカーでよく使う腸腰筋(腰から太ももの前の筋肉)も練習後にしっかり伸ばしておこう(フレックスクッション付属動画より)
ストレッチの例
運動後に行う静的ストレッチには、以下のようなものがあります。・アキレス腱を伸ばす
・太ももの裏の筋肉を伸ばす
・太ももの表の筋肉を伸ばす
・太ももの内側の筋肉を伸ばす
アキレス腱は、足を前後に開いて両足のかかとを地面につけた状態で、前足に体重を乗せて沈み込むようにして伸ばします。
また、太ももの裏の筋肉は、長座状態から片足を引き、伸ばしている方の足のつま先を手を使って前に引くことで伸ばすことができます。左右どちらも行いましょう。
太ももの表の筋肉は、長座状態から伸ばしたい方の足を曲げ、そのまま体を後ろに倒していきます。いきなり後ろに倒れると痛みを伴うこともあるため、最初は肘をついた状態で、それでも痛みがなければ仰向けの姿勢をとります。太ももが固くて足を曲げても反り返ってしまう人は、壁を使ったストレッチがおすすめです。こちらは、壁に手を添えた状態で立ち、伸ばしたい足を手で持って膝を曲げて行います。
太ももの内側の筋肉は、長座状態を取り、左右の足の裏が合わさるように膝を曲げます。足の裏が合わさったら体を前に倒してください。
サッカーのプレー直後は、特に下半身の疲れが溜まっているため、しっかりとストレッチを行いましょう。足の疲れを取る方法を知っているかどうか、リカバリーに日数をかけられるかどうかでプレーの質やコンディションも大きく変わってくるはずです。また、こういったストレッチをこまめに行うことが怪我予防にも繋がります。
お風呂上りのストレッチは良い睡眠にもつながる
練習や試合が終わり、家に帰ってお風呂上がりにストレッチをする人も多いと思います。大塚さんは「お風呂上がりのストレッチは、筋肉が温まっている状態なので伸びやすく、効果的です」と笑顔を見せます。
「筋肉が温まった状態で伸ばしてあげると、疲れて収縮し、固まっている筋肉が伸びやすくなります。寝る前に静的ストレッチをすることで、副交感神経が優位になり、安静になろうとする気持ちが働くので、睡眠の質も上がります」 お風呂上がりに親子でストレッチをするのも、コミュニケーション面で良いかもしれません。ストレッチをすることで興奮した気持ちが鎮まり、ストレスが軽減されるとともに、質の良い睡眠につながるのでおすすめです。
お風呂上りのストレッチは良い睡眠にもつながります(写真はサカイクキャンプより:2018年撮影)
「これはアスリートが実践していることですが、布団に入る2時間前に40°のお風呂で5~10分入浴し、風呂上がりにストレッチをします。そして入眠の30分前はテレビやスマホを見ず、間接照明の中で過ごすと、質の良い睡眠がとれるというデータが出ています」
成長期のお子さんにとって、睡眠は疲労回復だけでなく、身体の成長面でとても大切です。入浴後のストレッチを、心も体も徐々にベッドへ向かっていくきっかけにするのもいいかもしれません。
ストレッチするときは伸ばす筋肉を意識する
「ストレッチをするときは、息を吐きながら行いましょう。それ以外に気をつけることは、『伸ばしている筋肉を意識すること』です。頭の中で『いまはこの筋肉が伸びているな』とイメージができると内感(自己の身体内部への意識や感覚)が高まり、身体の感度も上がっていきます。私が日々接しているトップアスリートは、この能力が髙い選手が多い印象です」
ストレッチをして『今日の疲れは今日のうちに取る』ことを心がけましょう。
大塚さんが監修した『フレックスクッション』のサッカー用エクササイズ動画には、効果的なメニューが多数収録されています。
ストレッチで伸ばした筋肉を軽くほぐすことで柔軟性があがる(フレックスクッション付属動画より)
「フレックスクッションを使ってストレッチをすることで、正しい身体の使い方を身につけることができ、可動域も広がります。それが結果として、コンディションを整えることにつながります。一人でも取り組むことができるので、おすすめです」
痛みや不安なくサッカーができるように
最後に、大塚さんはこんなメッセージをくれました。 「ストレッチをしてコンディションを整えるのは、痛みや不安がない状態で、翌日もサッカーをするためです。朝起きた時に痛みや疲労がなく、今日もサッカーがやりたいなと思うことができれば最高です。そのためには、練習や試合後のクーリングダウン、身体のケアを目的としたストレッチをすること。そして、しっかりと栄養、休息を摂ること。この3つを1セットとして、取り組むと良いと思います」
次回は、ジュニア年代におけるストレッチの必要性やストレッチの苦手な選手へのアプローチなどを伺います。
大塚慶輔
(株)ライフパフォーマンス トータルコーディネーター
なでしこジャパン 兼U-19日本女子代表フィジカルコーチ
数々のプロサッカーチームで指導した経験を持ち、現在はなでしこジャパン 兼U-19日本女子代表でフィジカルコーチを務める。自身で設立したジムでは、国内外で活躍する選手のトレーニングやライフスタイルの指導・サポートを行っている。
LP BASE(ライフパフォーマンス)のサイトはこちら>>
■フレックスクッションとは
現在、立教大学相撲部の監督を務める坂田直明氏が、相撲部員時代に苦手だった「股割り」を行うために開発したストレッチ専用器具。
日本や欧州のプロサッカーリーグで25チームが導入するなど、多くのアスリートが愛用しています。独自の高さと傾斜によって、座るだけで骨盤が前傾しやすくなるので、体が硬い人でも簡単に効果的なストレッチが行えます。
イースリーショップでは、大塚さんが監修した「サッカー専用エクササイズ動画」付きで販売中です!
なでしこジャパン 兼U-19日本女子代表フィジカルコーチの大塚慶輔氏が監修した
トレーニング動画をプレゼント!