運動能力
2020年8月27日
サッカー選手に柔軟性は欠かせない!ストレッチで身につける正しい体の動かし方
なでしこジャパン 兼U-19日本女子代表フィジカルコーチの大塚慶輔さんにサッカーにおけるストレッチの重要性について伺う第2回目。今回は、ジュニア年代におけるストレッチの効果や体が硬い子でもやる気を出す方法を伺いました。 プロサッカー選手でも体が硬くてストレッチが苦手で柔軟に体を動かすのが苦手な選手がいるそうですが、そんな選手にもストレッチ器具「フレックスクッション」が効果的なのだそうです。ストレッチを通して体の柔軟性を高めたいサッカー選手やサッカーチームの関係者はぜひチェックしてみてください。(サカイク編集部)
前回:練習後のストレッチが翌日のコンディションに繋がる!プロ25チームが採用するストレッチ器具>>
■ストレッチは体の正しい動かし方を身に付ける第一歩
ストレッチには、大きく分けて2つの効果があります。それがパフォーマンス向上と疲労の軽減です。とくに昨今の子どもたちは、サッカーならサッカーだけと、幼少期から専門特化する傾向にあります。そのため、下半身は動かすことができても、上半身をうまく使えない、動かすのが苦手という子も少なくありません。しかし、柔軟に体を動かせることはサッカー選手として成長するためにも非常に重要なことです。
数々のサッカーチームでフィジカルコーチを務めてきた大塚慶輔さんは、現代の子どもたちに必要なトレーニングについて、こう述べます。
「いまの子は、昔と比べて、遊びの多様性がなくなってきています。サッカーをする子は、朝から晩までサッカーしかしていないことが多いですよね。僕が子どもの頃は、サッカー以外に野球をしたり、ドッジボールをしたりと、たくさんのスポーツを遊びの中でしていました。そうすることで、肩周りの柔軟性を獲得したり、様々な動きを習得していった経緯があります。いまの子どもたちは早い時期から専門特化しているので、動きづくりは意図的にやる必要があると感じています」
以前の子供たちは、サッカーのトレーニングだけでなくそれ以外の遊びなどを通して柔軟な体を手に入れていたことがわかります。
サッカーでもキックの時などに上半身の柔軟性が必要になる(写真はサカイクキャンプより:2018年撮影)
動きづくりや、身体の正しい使い方、身体の柔軟性を身につけるために有効な方法の一つが、ストレッチです。
「コーディネーション能力の向上や、普段うまく使えていない部位を動かすために、まずはストレッチをするのが良いと思います。とくに小学生のうちは、正しい身体の使い方を学習するために、柔軟性を確保することが大事だというのはお伝えしたいです」
正しい姿勢、動きを学習することで、ある動作をしたときに、動くべきところがしっかりと稼働します。そうすることで体が柔軟になり、ケガの予防やパフォーマンスの向上も見込むことができます。
■ストレッチが苦手な選手へのアプローチ法
「中学生ぐらいになると、背中や腰椎の周りが固くなっていることが原因で、腰痛になる子も出てきます。他にも、長時間の勉強やスマホ、タブレットなどを使用することで猫背になったり、首が前に出てしまうことで腰に負担がかかるケースもあります。それを予防するためにも、正しい姿勢を身につけること。そして肩周りや胸郭、骨盤周りの柔軟性を確保することが大切になります」
身体が硬い、柔軟性がない子は、ストレッチをすると痛みが先行し、なかなか続かないもの。大塚さんは「そのようなときは、『このポーズができる? できない?』とテストをしてみて、自分の現状を知ることから始めましょう」とアドバイスを送ります。
「たとえば、立位体前屈という、立った状態で両手を伸ばし、地面を触る柔軟がありますが、『いま、自分はどのぐらいの柔軟性なのか』を知ることで、『次はもう1cm、遠くまで伸ばせるようにしよう』と目標を立てることができます。『ストレッチをするとケガの予防になる』と頭でわかっていても、なかなか自分事にはならないので、私は選手にそのようなアプローチをしています」
ただトレーニングの中でストレッチをするのではなく、選手一人ひとりの状況を踏まえたうえでトレーニングすることが大切です。
ストレッチの事前、事後に立位体前屈をすることで自分の体の柔軟性をはかる(フレックスクッション付属動画より)
■筋トレをする前にストレッチで可動域を広げておく
ストレッチのメリットは、ケガ予防だけではありません。サッカーのパフォーマンスアップにも効果があります。
「ボールを蹴るときに体をひねったり、ドリブルをしながら手を使い、相手をブロックするといったプレーがありますが、それをするためには胸椎や肩甲骨、股関節の柔軟性が必要です。まずはストレッチをして、関節の可動域を広げること。そして、しっかり正しく動かせるようにすること。この順番を意識してほしいと思います。正しく動かせる、身体を使えるようになってから、パフォーマンスを高めるための筋トレなどをするのが効果的です」
サッカー選手の中には、なんとなくストレッチを行っている人もいるのではないでしょうか。しかし、それではストレッチの効果を十分に得ることはできないでしょう。なぜストレッチを行うのか、体の柔軟性を身につけることがサッカーにどのように役立つのか、その理由を説明することでより積極的にストレッチに取り組むようになるかもしれません。
キックのときに胸椎や股関節の柔軟性が重要になる(フレックスクッション付属動画より)
■体が硬い子でもサポート器具があればやる気アップ
正しい動きを身につけるためには、トレーニング器具によるサポートがあるとやりやすいもの。大塚さんは、指導現場で『フレックスクッション』を重用しているそうです。
「指導する側としては、フレックスクッションのようなサポート器具があると、骨盤を起こすといった、正しい身体の使い方を体感させることができるので『その状態で、少しずつ身体を倒してみよう』などのアドバイスがしやすくなります。そうすると、いままで身体が硬くてあきらめていた選手も『やってみようかな』という気持ちになります。その問題を解決できるのは、すごく大きいです」 さらに、こう続けます。
「指導現場では、昔から『フレックスクッションのようなものがあるといいよね』という話はしていました。股割りをする時に、股関節が硬いと骨盤が立たず、やる気にすらならないことがあります。フレックスクッションがあると、身体が硬い人でも傾斜を使って骨盤が立つので『この姿勢をキープしながらエクササイズしましょう』と言えるんです」
クッションの傾斜によって座るだけで骨盤が立ちやすくなる(フレックスクッション付属動画より)
プロ選手の中には、チームの練習場で使用するものと、自宅用に使い分けている人もいるそうです。また、サッカーをするお子さんを持つ家庭では、リビングにおいておくと、テレビを見ながら自主的にストレッチをするようになったという報告があり、保護者の中には、テレワーク中にフレックスクッションに座りながらパソコン作業をしていたら、骨盤が立つので、腰痛にならなくなったといった声が聞かれたそうです。このように、フレックスクッションであれば、無理なくトレーニングをすることができ、自然と体の柔軟性を高めることができます。
「電車に乗っているときや、何気なく立っているときに、多くの人は左右どちらかの足に体重が乗っています。その姿勢が、どれだけ身体への負担になっているか、皆さんまだ気づいていないんです。子どもの頃から、正しい身体の使い方を身につけておくことは、ケガの予防にもなりますし、パフォーマンスアップにもつながっていくと思います」
疲労回復やコンディション向上、柔軟性の高まりによるサッカーのパフォーマンスアップにつながるストレッチ。フレックスクッションを使うことでわずかな時間で手軽にできるので、動画を参考にチャレンジしてみてください!サッカーをしている人はもちろん、そうでない人にもおすすめです。
股関節のストレッチ。フレックスクッションを使うことで、より筋肉の伸びを感じることができる。(フレックスクッション付属動画より)
大塚慶輔
(株)ライフパフォーマンス トータルコーディネーター
なでしこジャパン 兼U-19日本女子代表フィジカルコーチ
数々のプロサッカーチームで指導した経験を持ち、現在はなでしこジャパン兼U-19日本女子代表でフィジカルコーチを務める。
自身で設立したジムでは、国内外で活躍する選手のトレーニングやライフスタイルの指導・サポートを行っている。
LP BASE(ライフパフォーマンス)のサイトはこちら>>
■フレックスクッションとは
開発者であり現在、立教大学相撲部の監督を務める坂田直明氏が、相撲部員時代に苦手だった「股割り」を行うために開発したストレッチ専用器具。
日本や欧州のプロサッカーリーグで25チームが導入するなど、多くのアスリートが愛用しています。独自の高さと傾斜によって、座るだけで骨盤が前傾しやすくなるので、体が硬い人でも簡単に効果的なストレッチが行えます。
イースリーショップでは、大塚さんが監修した「サッカー専用エクササイズ動画」付きで販売中です!