健康と食育

2011年7月10日

夏の熱中症対策 -熱中症編

■無知と無理でおこる熱中症

熱中症とは、暑いときに生じる障害の総称ですが、「暑いときは熱中症になるからサッカーをしてはいけない」というわけではありません。適切な予防をすることで防ぐことができるものなのです。日本体育協会スポーツ科学研究室の伊藤静夫さんに話を伺いました。

■熱中症のなかでも、怖いのは熱射病という状態

熱中症は、熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病に分けられます。"熱失神"とは、めまいや立ちくらみのような状態です。"熱けいれん"は、大量に汗をかくことで水分と塩分が失われ、足や腕などに痛みを伴ったけいれんがおきます。"熱疲労"になると、頭痛や疲労感がでてきます。

これらの症状のときは、涼しい場所で休息を取り、水分を補給することで、比較的早く回復することができるのです。恐ろしいのは"熱射病"です。体温がとめどなく上がってしまう非常に危険な状態で、死亡事故につながる恐れが多いのです。

■熱中症を知らないから無理をさせてしまう

では「なぜ、熱中症になってしまうのか?」ということを考えてみると、熱中症を知らなかったという"無知"と、体調が悪いのに頑張らせてしまったという"無理"が原因となっているのです。

サッカーの練習や試合は、一般的には環境温度が高いときでも中止にはなりません。そこで「この条件では熱中症になる可能性が非常に高いので注意が必要だ」と指導者が認識していれば、具合の悪そうな子どもには、休息や水分補給などの措置を素早くするでしょう。しかし、熱中症のことを知らない指導者は、暑くてだらけているだけだと思って無理に活動を続けてしまうのです。

■無理をさせることが、重症度の熱射病を引き起こす

特に高学年になると、少しくらい具合が悪くても、肉体的、精神的に耐えられるようになってくるので、本人が無理をして練習を続けてしまいます。目標となる大会を控えていればなおのことです。指導者も高いレベルの動きを要求するようになっているので、「そのくらいでバテて、どうするんだ!」と気合をいれてしまう。余計に「具合が悪いです」といえなくなって、頑張ってしまうのです。

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