健康と食育
2012年5月16日
知っておこう!サッカーで考えられる眼の病気やケガ
サッカーでは競技の特性上、接触プレーやヘディングも多く、ボールや相手選手の手や膝などが不意に顔面へ当たったりします。Jリーグの試合の中継を見ていても接触プレーで相手の手が顔に当たったり、ゴールキックのボールを相手選手と競り合っているときに相手の頭が眼に当たって顔を押さえているというシーンはそれほど珍しい光景ではありません。そこで、今回は眼科の専門医にサッカーで考えられる眼病やケガについてお聞きしました。
■サッカーで想定される眼病、外傷などについて
――子どもの眼病にはどのようなものがあるのでしょうか?サッカーとの関連も教えてください
「一つ目は、外での活動が多いため、日焼けをして充血しているという場合。この場合はそれほど心配ではないようです。
二つ目は、花粉症による眼の炎症です。花粉症の季節には一般的な花粉症のケアをしたりすることが大切です。花粉症の影響が眼に表れる場合はスポーツゴーグルの使用は有効でしょう。その他に最近では黄砂の影響もあるので、しっかりとしたケアが必要になります。
三つ目が土ホコリによるもの。 少年サッカーの場合は学校の校庭で行われることが多いのが現状です。特に雨がほとんど降らない日が続いたときに、風が強く吹くような天候では砂埃が舞い上がり、眼に入ります。これらの要因によって結膜炎や角膜炎を起こすことがあるので、そういった時にはスポーツゴーグルの使用は有効です」
――サッカーに特有の接触プレー。ボールや相手の手などが眼にあたることの危険性は?
「スポーツの中で、特に野球はボールが小さいため、打った野球のボールが眼を直撃するとかなりのダメージになります。最悪の場合は失明の可能性もあります。野球のボールと比べると大きいサッカーボールでは、野球のボールほどには、局所的な力が加わらないと考えることもできますが、野球のボールと比べると重量もあり、あたりどころによっては、重い症状や危険な症状になる場合もあります。
また、ヘディングの際にボールが眼へ当たることもありますし、また、接触プレーで、相手の手が眼に当たる、膝が眼に当たるなどの危険性もあるようです。そういった場合も、症状が悪化してしまうこともあります。
多い症例としては、
眼窩底骨折……目の周りのうすい骨が折れて、外眼筋などの眼球組織が割れた骨の隙間に入り込んでしまうような恐れもあります。これによって物が二重に見える症状がでることもあります。網膜剥離……ボクシングの選手がよくなる症状。寒天状の硝子体が、ボールなどが当たった衝撃で変形し網膜が引っ張られると、裂け目(裂孔)ができることがあります。裂け目から水が入ると網膜がはがれ、網膜剥離となる。
これは手術で治ることが多いです。ただし、子どもの眼球は大人よりも弾力があるため程度の問題はありますが、大人ほど重篤な症状にはならないことが多いようです」
■外傷時の確認について
――眼にボールが当たったときの応急的処置について教えてください
「基本的には素人判断せず、必ず専門の眼科医に見せることを第一に考えてください。練習中、またはゲーム中に子どもの眼にボールが当たる、接触プレーで眼を押さえて苦しがっているというような光景を目にしたら、練習・ゲームを中断して応急的に眼を確認するようにし、さらに、保護者への報告を忘れずにして欲しいと思います。その時は何でもなくても、後から異常が見つかる時もあるからです」
●何かが眼に当たった時には・・・
眼の周りの腫れを確認する。周りが腫れている場合は眼球以外の場所で力を吸収している場合があります。逆に強くボールが当たったにもかかわらず眼の周りに影響がない場合は眼球の方でボールの力を吸収してしまっていることが多いので注意が必要です。
●黒眼のところがどんな状態かをよく観察する
前房出血(※)などが起こっている可能性があります。これは茶目のところが出血している状態です。(※前房出血とは、目に物が当たって、虹彩の根元(根部)が切れ、その部位から出血して前房内に血液が流出していることをいいます。原因としては、目をなぐられた、ぶつかった、当たったなどにより起こることが多いです。)
瞳の形が変形していないか。
瞳の大きさが広がっていないかも観察しましょう。
●当たった眼の見え方を確認する
当たっていないほうの眼を隠して、物が見えているかどうか、物の見え方に変化はないかを確認します。中でも特に気をつけないといけない外傷は、外傷性視神経症です。これは視神経に影響が出て、視力に影響を及ぼすことがあります。
久保田芳美先生(くぼた眼科院長・医学博士)//
『くぼた眼科』
〒321-0132 栃木県宇都宮市雀の宮4-7-26
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