健康と食育
2014年8月14日
あなたの認識不足が招く!女子アスリートが抱える生理のリスク
生理の情報をコンディション管理に活用しているスフィーダ世田谷FCから学ぶ、女子選手と月経(生理)の関係。後半は千葉恵美マネージャーから女子アスリートの本音を聞き、より知識を深めていきましょう。(取材・文・写真/青木美帆)
■29名中12名が生理不順
スフィーダ世田谷で唯一の女性スタッフとなる千葉マネージャーは、選手の生理情報の管理を一手に担う存在です。選手から送られてくる生理開始日と終了日、個人面談で得た体調の変化をエクセルデータにまとめ、川邊健一監督が必要なときに伝えます。
取り組みをはじめて約5カ月。選手たちの生理周期を把握した結果、ある事実が判明しました。29人の所属選手のうち、じつに12人が生理不順を抱えていたのです。
生理不順というのは、生理が規則正しく訪れない状態のことです。生理の有無は体脂肪と相関性があると考えられており、激しい運動量で体脂肪が落ちやすいアスリートは、特に周期が乱れがち。半年近く生理がない選手もおり、2012年までプレーヤーだった千葉マネージャーも、現役時代はじつに2年間も生理が止まっていたそうです。
「でも、そのことが大事だと思っていなかったですね。『わたし、不順なんだよね』『へえ、そうなんだ』くらいの感覚。わたしが長く生理が来ていない時も『楽でいいな~』と言われていましたし、自分自身ラッキーだと思っていました」
当時をそう振り返る千葉マネージャー。確かに出血、痛み、イライラなど、生理に伴う不調は、一般女性にとっても煩わしいもので、体が商売道具であるアスリートなら、なおさら強く感じるものなのかもしれません。しかし生理不順は選手生命をも左右する重大な危険性をはらんでいることを、把握しておかなければなりません。
■疲労骨折、妊娠能力低下。無月経のリスク
長期にわたって生理が止まることを「無月経」と呼びます。この無月経により、疲労骨折を起こすリスクが増大するというのです。実際、千葉マネージャーも生理が止まった時期に、普通ではありえないような状況で骨折を経験しているそうです。
また、無月経が長く続くと妊娠する能力が低下する可能性も高まることが、近年の研究で明らかになっています。選手としてはもちろんのこと、競技生活を終えた後の「女性」としての将来までを考える姿勢が、ジュニア期の女子選手を見る人間には求められます。
女性アスリートが肉体的な大きなリスクを抱えていることを踏まえた上で、心理面にもクローズアップする必要があります。