健康と食育
2018年11月22日
勉強もサッカーも伸びる「良質な睡眠」のとり方 正しい入浴と睡眠の知識②
■海外に行ってないのに時差ボケ?
睡眠不足では、パフォーマンスが落ちます。大人も子どもも少なくとも6時間、小学生なら8時間以上寝てほしいところです。特に高学年女子は睡眠不足に注意が必要。睡眠の質が悪くなったり、無月経になるとエストロゲン(女性ホルモン)が減少して骨量が減り、骨折のリスクが高くなります。また、女性特有の生理痛や便秘などの症状を引き起こすこともあるので、しっかり眠ることは大切です。
正しい入浴と睡眠はサッカーのパフォーマンスアップにもつながります (写真はサカイクキャンプ)
良質な睡眠のためには、毎日の生活リズムを整えること。大人でも中々実践できない方もいると思いますが、休日だからと遅くまで起きていたり、食事の時間がずれたりすることは良くありません。
眠れないときは、睡眠日誌を付けてみることをお勧めしていると石川さんは言います。起床時間、朝食、昼食、お風呂、夕食、就寝時間の記録を1週間ほど続けてみると、自分の生活リズムがわかり、どのタイミングがバラバラなのかがわかってきます。一度にすべてを合わせることは難しいので、起床時間を合わせることからスタートすると、次第に毎日のリズムが整ってくるとアドバイスをいただきました。
小学生なら学校が始まる時間が決まっているので、平日の朝は合わせやすいかもしれませんね。
ちなみに、起床時間が平日と休日で大幅にずれるのは「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」と言うそうです。実際に時差がある国に行ったわけではないのに、体内時計はまるで海外に行ったかのように錯覚してしまうのだとか。そうすると体内リズムが崩れ、夜眠れなくなったりしてしまうのです。
そうならないように日々の生活リズムを整えるのはもちろんですが、自分がリラックスできる方法をいくつか用意しておくのもよいでしょう。
好きな音楽を聴いたり、好きな香りをかぐ、眠れない原因である心配のネタ(確認事項など)を潰していく、一度読んだことのある書籍を読むのもいいでしょう。入浴後のリラックスした状態での読書は、活字が眠気を誘ってくれます。すでに読んだことのある書籍であれば、内容を分かっているので安心感があり、眠りやすくなります。実は多くのアスリートが眠る準備として本や漫画を読んでいるそうです。
最近では日本人だけでなく、バスタブに浸かる習慣のない外国人のアスリートも入浴の大切さに気付き、バスタブに浸かって疲労回復をしているそうですよ。
日本の文化である「お風呂」は良質な睡眠に最適なのです。
今日からお風呂はきちんと肩まで浸かって、体を芯から温めましょう。入浴剤を効果的に使えばリラックス効果もアップします。 正しい入浴→良質な睡眠で疲労をリカバリーして、最高のパフォーマンスを導き出しましょう。
<<前編:毎日のお風呂が身体を強くする!? パフォーマンスが上がる「正しい入浴と睡眠」の知識①
石川泰弘(いしかわ・やすひろ)
株式会社バスクリン 広報責任者 博士(スポーツ健康科学)
東京都出身。小学校から高校までサッカー部に所属。
順天堂大学大学院で博士号を取得。専門は運動生理学。温泉入浴指導員や睡眠改善インストラクターの資格をもち、"お風呂博士"としてテレビや雑誌などに数多く登場。五輪選手や同社契約アスリートに入浴や睡眠の指導を行うほか全国各地で温泉や入浴、睡眠に関する講演を実施している。
著書に「バスクリン社員が教える究極の入浴術 お風呂の達人」(草思社)「たった一晩で疲れをリセットする睡眠術」(日本文芸社)などがある。