健康と食育
2021年11月22日
川崎フロンターレアカデミーにレクチャー! 心と体を安定させるために大切な『噛む力』とは?
川崎フロンターレがJ1リーグ2連覇を決めた直後の11月6日、『川崎フロンターレアカデミー×ロッテ 噛むことセミナー』が行われました。これは株式会社ロッテ中央研究所が主催したセミナーで、将来の川崎フロンターレ、そして日本サッカー界を担う選手たちに「噛むこと」の大切さを知ってもらうための取り組みです。(記事提供:株式会社ロッテ)
川崎フロンターレのクラブハウスに集まったのはU-18の選手たち。将来のトップチーム入りを目指す彼らの眼差しは、真剣そのものです。
セミナーは家長昭博選手やレアンドロ・ダミアン選手を始めとする、川崎フロンターレの選手が「噛み合う力」を宣言するVTRからスタートしました。
その後に登壇したのは、株式会社ロッテ中央研究所の上村学さんです。上村さんは「サポーターとチーム、そして攻守の噛み合う力が大事」と話し、アスリートが試合中にガムを噛み、パフォーマンスに役立てていることを紹介。さらには選手たちにガムを配り、噛む力をチェックしていきます。
上村さんの案内に従い、選手たちは60秒間、1秒1回のペースで噛んでいきます。60秒経過後、ガムを出すと、噛む力があることの証明である鮮やかな赤やピンクに色が変わっていました。
上村さんは「噛む力によって色が変わるのですが、みなさんしっかり噛めているようです」と笑顔を見せます。
■唾液に秘められた力
続いて、歯学博士の武田友孝教授の講演が始まりました。武田教授は東京歯科大学で口腔健康科学、スポーツ歯学を研究しており、日本オリンピック委員会の強化スタッフも務めたスペシャリストです。
武田教授は「食べるという字は『人を良くする』と書きます。しっかり噛むことによって、栄養素が吸収されやすくなります」と説明。研究データをもとに、「唾液には食事のサポートや健康を守ること、成長ホルモンが筋肉・骨の発育を促進する働きがあります」と、よく噛み、唾液を分泌することの重要性を説きます。
さらには「噛むことで、唾液の量が上がります」と話し、次のように続けます。
「ガムを噛むと心拍数が上がったり、脳が活性化することが報告されています。ストレスの軽減や集中力、認知機能(とっさの判断)の向上にも影響します。運動中の口の乾きを防ぐこともできるのでスポーツとの相性は良いと思います」
■マウスガードで口腔と体を守ろう
スポーツ中に起きるケガや脳震盪などの予防、ダメージの軽減に噛み締めは重要な役割を果たします。正しいマウスガードを使用し意識的に噛み締めることで、身体の接触時に頭の揺れが減り、衝撃から身を守ることにつながるそうです。
武田教授はケガ予防や正しい噛み締めの観点から、マウスガードの着用を奨励しています。
「マウスガードは歯や顎の外傷、歯のすりへり、脳震盪などを防ぐ効果があります。ヘディング時の頭の加速度を計測すると、マウスガードを着けているときと着けていないときとでは、動きの安定に違いがあることがわかりました。頭が揺れなければ、プレーの精度が上がる効果も期待できます」
市販のマウスガードは外れやすく、違和感も強く、また安全性も劣ります。「歯科医が作るものを選ぶことが重要」とのことで、「これからは体を鍛えることに加えて、口の周りにも気を配っていただけたらと思います」と話し、セミナーを締めくくりました。
セミナーの最後には、川崎フロンターレFRO(Frontale Relations Organizer)の中村憲剛さんがVTRでサプライズ出演。「このセミナーで、噛むことがいかに大事かがわかっていただけたと思います。噛むことを意識して、パフォーマンス向上につなげてほしいです」とメッセージが送られました。
■食事のときはよく噛むこと
キャプテンの青山海選手は「これまで、噛むことについて真剣に向き合うことはなかったのですが、講習を聞いてメンタルの安定やパフォーマンス向上につながることがわかりました。これからは、よく噛んで食事をとることを心がけていきたいです」と感想を話してくれました。
武田教授はセミナー後、「さすがプロを目指す選手たち。体つきがしっかりしていました。体を鍛えることと同時に、口腔のコントロールもしっかりすることで、心身ともに成長し、日本サッカー界を背負う選手になってほしいです」とエールを送っていました。
この記事を読んだ、将来のプロサッカー選手を目指す子どもたち、サポートする親御さんは「食事のときはよく噛むこと」「マウスガードを使ってケガを予防すること」に取り組んでみてはいかがでしょうか。
日々の食事中もよく噛むことを意識して、パフォーマンスアップに取り組みましょう!
※アンケート回答期限〆切12月3日(金)18時
■武田友孝(たけだ・ともたか)
歯学博士。東京歯科大学口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室教授。
「食いしばり」と「スポーツ」の関係性を検証し、その対策を講じる「スポーツ歯科」の第一人者。日本オリンピック委員会の強化スタッフも務めた。