インタビュー
2011年12月13日
カンテラ時代のコーチが語る「セスク・ファブレガス(バルセロナ)」の才能
シャビ、イニエスタ、ブスケッツらカンテラ(下部組織)出身者で構成するFCバルセロナの中盤に、今季、新たな選手が加わりました。それがセスク・ファブレガスです。彼の背番号は4。グアルディオラ監督が現役時代につけていた番号と同じです。
■体力テストも技術テストもセスクは、チームの中で並以下の選手だった
セスクはアーセナルから今季加入しましたが、かつてはバルセロナでプレーしていた選手でした。メッシやピケと同じ時期に、バルセロナのカンテラに所属していたのです。セスクを10~11歳のときに指導したのが、カルレス・ロマゴサコーチです。現在はジョアン・ビラとともにサッカーサービス社を設立し、選手育成や指導者養成に力を注いでいる人物です。
カルレスコーチによると、セスクのテクニックとフィジカルのレベルはチームでも並か、それ以下だったそうです。カルレスコーチは昔を思い出して、こう言います。
「彼が12歳のときに、体力テストと技術テストを実施したのですが、スピード面ではかなり数字が悪く、技術のサーキット練習でも目立った結果を残せませんでした。それどころか彼よりも年下の選手で、いい成績を残す選手が何人もいたのです」
当時のセスクは飛び抜けたテクニックも、フィジカルも持ちあわせてはいませんでした。しかし、彼には特別な才能がありました。カルレスコーチは言います。
「セスクは試合の流れを読みとる能力が優れていました。どのようにプレーが進むのかを察知し、常に適切なポジションをみつけ、その場所にいるのです。他の選手よりも視野が広く、適切なプレーを選択することができるので、ボールを奪われることなくパスをつなぎ、決定的な場面を作り出すことができます」
■セスクの復帰で、バルサはピッチをより深く使えるようになった
セスクは2003年にU-17スペイン代表に選ばれると、U-17欧州選手権ではチームを準優勝に導く活躍を見せ、MVPと得点王を獲得します。大会後、若手を育てる名人として知られる、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督に見初められ、16歳でイングランドに渡りました。
イングランド・プレミアリーグでも持ち前の戦術眼を発揮し、20歳にしてアーセナルの中心選手に登りつめると、欧州でも有数のMFへと成長しました。
しかし、セスクの心にはいつもバルサがありました。イングランドに渡ってから8年の月日が流れた、2011年8月。長年の思いが実り、ついにバルサへと「復帰」することができたのです。
↑カルレスは、ボージャン(ASローマ)やメリダ(スポルティング・ブラガ)なども指導
カルレスコーチは、バルサ復帰後のセスクのプレーをこう評価しています。「セスクが出場することで、攻撃においてピッチを深く使うことができるようになりました。そして、ピッチ内外でバルサのスタイルへ即座に適応し、プレースタイルの継続性をもたらしています」
慣れ親しんだ「ブラウ・グラナ(青とエンジ)」のユニフォームを着たセスクは、水を得た魚のようにプレーしています。果たして、クラブワールドカップではどんなプレーを見せてくれるのでしょうか。バルサが出場するのは、15日のアル・サッド戦です。試合を見るときは、ぜひ背番号4に注目してみてください。
カルレス・ロマゴサ・ヴィダル//
Carles Romagosa Vidal
FCバルセロナ下部組織の監督として5年間活躍し、ボージャン、ピケ、セスク・ファブレガスらを指導。また、スクールディレクターを務めた経験を持つ。現カタルーニャ・サッカー協会 副テクニカル・ディレクター兼プロジェクト・コーディネーター。現FCバルセロナメソッド部門のディレクターとして試合分析やコーチ育成などを手掛けるジョアン・ビラとともに、世界各地で選手育成にあたっている。
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