インタビュー
2014年7月17日
選手それぞれがサッカーに対する哲学を持っているスペイン
ポール:サッカー面での適応はどうでしたか?
福田:海外で最初にプレーをした国がパラグアイで、次がメキシコでした。メキシコのグラウンドは乾いていて芝が長かったのですが、すぐに順応することができました。
ところが、突然その年の移籍マーケットで、スペイン2部のカステジョンに行くことになったんです。スペインのグラウンドは粘土質で芝が短いんですね。しかも、ピッチを水で濡らすのでボールスピードがめちゃくちゃ速い。メキシコのグラウンドとは正反対で、プレーのリズムも違うので最初の3、4ヶ月は戸惑いましたね。
結局、カステジョンには6ヶ月いたのですが、2点しか取れなかった。自分としては、グラウンドに慣れるしかないので、どう動けばいいかなど、チームメイトや監督と積極的に話をしましたね。
ポール:チームメイトとのコミュニケーションなど、人間関係については監督が助けることができますが、ピッチのことは自分で慣れていくしかありません。
もし私が福田さんのチームの監督であれば、最初はシンプルにプレーできるよう指示をして、慣れていくに従って要求のレベルを上げていくでしょう。日本の選手がスペインに来たときに、最初に多くの説明をし、たくさんの仕事を求めたとしても、混乱して良いプレーをすることは難しいと思います。
福田:カステジョンにいた最後の方は、自分にどんなプレーが求められているかもわかり、チームのスタイルに慣れてきたのですが、契約満了という形になりました。自分自身、「スペインの2部では通用しない」という烙印を押されたことが悔しくて、このまま帰るわけにはいかないと思ったんです。
6月にシーズンが終わって、8月末に移籍マーケットが閉まるまでの間、バレンシアのホテルに泊まりながらチームを探しました。ホテルの近くに河川敷があったのですが、そこに出稼ぎに来ていたアルゼンチン人、チリ人たちが集まってサッカーをしていたんですね。何気なく見ていたら、けっこうレベルが高くて。
『上半身裸チーム対服を着たチーム』で試合をしていたので、「俺も混ぜてくれ」と言ったら「いいよ」と。そこで毎日プレーをしていくうちに、コンディションが上がっていきました。最初は名前も呼んでくれなかったのですが、活躍するうちに信頼も得られて「お前、結構やるな。名前はなんて言うんだ? 明日も来るのか?」って(笑)。
そんな日々を過ごしながら、代理人とは密に連絡をとっていました。ある日、ヌマンシアから「テストを受けてみないか」と声をかけられて、1週間のテスト期間があったのですが、3日目で「合格だ。契約しよう」と言われました。
福田 健二(写真:左)
愛媛県新居浜市出身。ポジションはフォワード。年代別の日本代表で活躍し、アーセン・ベンゲル監督の下、名古屋グランパスエイトでプロデビュー。Jリーグ、パラグアイ、メキシコ、スペイン、ギリシャ、香港のリーグでプレー経験を持つ、国際派ストライカー。現在は、香港ファーストディビジョンリーグ・横浜FC香港に所属する。
ポール・デウロンデル(写真:右)
UEFA監督ライセンスA級を所持。サッカーサービス社において試合分析の責任者を務める。現在は、サッカーサービススクール常駐コーチとして来日中。サッカーサービス社は、スペイン、バルセロナに本拠を構えるプロの指導者集団。欧州名門クラブの育成監督などで構成され、リーガ・エスパニョーラトップチームの選手をはじめとした世界一流選手のパーソナルコンサルティングを行う。
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