インタビュー
2015年4月30日
「子どもにパーフェクトを求めない」藤田俊哉5つの教育方針
奥さんと2人の子どもを連れ、昨年からオランダに移住した元日本代表の藤田俊哉さん。現在はオランダのプロチームでコーチを務めています。長男は10歳になり、日々サッカーに励んでいるそうです。サカイク読者のみなさんと同じように日々子育てに励む藤田さんが、子どもと接するときに気をつけていることとは――。前編となる今回は、藤田家の教育方針についてお話をうかがいました。(取材・構成/小須田泰二 写真/藤田俊哉)
■藤田家の方針は「情熱を持てることをやらせる」
――今回は藤田俊哉さんの「子育て論」についてお伺いしたいと思います。オランダに移住して2年目を迎えましたね。どんな生活サイクルで子育てしていますか?
毎日の生活はいたってシンプルです。でも、新鮮だし楽しい。ぼくは『VVVフェンロ』というオランダの2部リーグに所属するクラブでコーチをさせてもらっていますが、毎朝、長女と長男を学校に車で送って、休みの日には家族でオランダ国内やドイツの名所など、できるかぎりいろんなところに行くようにしています。
――海外での子育ては大変なことが多いですか?
日本と比べたらね。慣れていないぶん、決して生活しやすいとは言えませんが、新しい環境での生活を楽しまないと。
――お子さんは何歳ですか?
長女は16歳で、長男は10歳。長男はオランダでもサッカーを続けています。近いうちに水泳も始めるつもりです。泳げないのが恥ずかしいからプールに行くと言っています。やはりモチベーションは自分から発していかないと、楽しくないし上達もしないから長続きしない。親から与えられたものってほとんど続かないですよね。疲れて辞めてしまったり、イヤになって辞めてしまったり。親からやらされて途中で辞めてしまった友だちを何人も見ていますから。自分の想いと周りの想いにギャップがある。結局、最後までやるには、自分に動機がないとできないとぼくは思っています。好きなことは続くし、イヤなものは続かない。子どもの意思のもとに好きなことをやらせてあげたい。そんな考え方はもしかしたら甘いのかもしれないけど、それぞれの家庭にはそれぞれの教育方針がありますから。藤田家の方針は「情熱を持てることをやらせる」。それが一番だし、それに尽きると思います。
―好きなことをやらせていると、しつけが疎かになりませんか?
あまり叱らない(苦笑)。ぼく自身もそうだけど、あまり叱られた記憶がないんです。強いてあげるとしたら、最低限のルールを守らないときは叱りますね。「今日はこれをやろうね」と決めたのに、ゲームを始めたら言いますね。そのほかのルールと言えば、必要以上に人に頼ったり、迷惑をかけないことくらい。本当にそれくらいです。ぼくは「現在」で子どもを判断していません。今、口を酸っぱくして言っていることは、大人になって身についてくるものだと思います。もちろん、いますぐに結果が出ればベスト。ただ、たとえば親が一回言っただけで治るものなんてないと思っています。パーフェクトに親の言うことに応えられる子どもなんて見たことがない。だから、ぼくはパーフェクトを求めない。口酸っぱく言わないと治らないものですし、そう言ってもなかなかやらないのが子どもですからね。万が一、すぐにできなかったとしても時間をかけてじっくり教えていけばいい。だから藤田家は緩いかもしれませんね(苦笑)。叩かれて叩かれて反骨心のなか成長する人もいるかもしれませんが、ぼくはそっちを選びません。子どもは褒めることで育つと信じています。
―たとえば極端な話、外で警察沙汰になるようなことをしたらどうしますか?
ヤンチャと呼べる範囲ならいいと思うますが……
人に迷惑をかけるのは絶対にダメ。ましてや警察にご迷惑をかけるなんてもってのほか。だから親としては、自分の目が届かないところで子どもがなにをしているのか不安になることがあります。その時間が親としては怖い。でも、それも人間関係と一緒で、子どもとの信頼関係だと思っています。ぼくが見えない範囲は、子どもを信じるしかない。それでも裏切るようなことをしたら、当然子どもを叱りますが、やはりそれも親の責任だと思います。子どもは親の言動を絶対に見ていますから。子どもが見えないところで悪いことをしているということは、つまり親の言動が悪いということ。子どもが悪いのは親が悪い。ですから、普段から親が子どもの見本となるよう、しっかりと行動することが大切だと思いますね。
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