インタビュー
2015年5月11日
「勝ちたい心を育むと負ける悔しさもわかる子に」藤田俊哉の父親論
前回の記事では「子どもにパーフェクトを求めない」という藤田家の教育方針を語ってくれた元日本代表の藤田俊哉さん。後編の今回はサッカーに関する具体的な指導方法について答えてもらいました。とくに「決断力」を身に付けさせる独自のトレーニング方法は必読です。(取材・構成 小須田泰二 写真 藤田俊哉)
■試合観戦では質問を投げかけて"見る目"を養う
――前回は主に藤田家の教育方針についてのお話を伺いましたが、後編の今回はもう少しピッチ内に目を向けたいと思います。10歳になる息子さんとはどのくらいの頻度でサッカーについて話していますか?
サッカーのことについては暇さえあればいつも話しています。こっち(オランダ)に来てからは、週2回ほど一緒にボールを蹴っています。これから陽が長くなって、もう少し一緒にサッカーができるようになるので楽しみですね。
――息子さんがサッカーを始めたのはいつからですか?
幼稚園のころですね。近所のクーバーコーチングに通っていました。現在は月・木・日の週3日。学校とぼくがコーチをしている『VVV』のスクールを掛け持ちしながら、日曜日は『VVV』のコーチにプライベートレッスンを受けています。これから『VVV』のチームに入団できたらいいなと思っています。ちなみに、ぼくがサッカーを始めたのは5年生から。それまではほかのスポーツをやっていて、体操、水泳、ボーイスカウト......、あと書道も。習い事はたくさんさせてもらいました。ぼくと同じように息子もサッカー以外のことをいろいろやっています。
――藤田さん自身の少年時代を振り返ると、10歳からサッカーを始めて12歳で日本一になっています。
ぼくの場合は本当にラッキーでした。自分が通ってきた道というのはあるけれど、子どもたちに自分の通った道を歩んでくれとは思いません。自分の好きな道に行かせたい。これからも強制は絶対にしません。
――サッカーの試合観戦やテレビ観戦は一緒にされますか?
もちろん見ますよ。ヨーロッパに行ってからは、リアルタイムで一緒に見られる機会が多くなって嬉しいですね。たとえば先月、ユナイテッドとシティのマンチェスター・ダービーがあったんです。「これはね、ビッグゲームなんだよ」って教えてあげたり、「どんな得点だった?」「どうして失点したんだろう?」というふうに聞いてみたり、「後ろは何枚でやっているの?」って振ってみたり。すると、最初のころはとんちんかんだったけど、最近は「4‐3‐3だよ!」とか「後ろは3枚!」とすぐに言えるようになるんです。ぼくが質問すると息子は自分なりに考えてみる。一緒に試合を見ながら見る目を養うトレーニングをしています。そんなガッツリ真剣に見ている訳でもないけど。
――10歳と言えば、小学校で言うと高学年にあたりますが、低学年・中学年・高学年と区切った場合、段階別の育て方というのはありますか?
年齢によって必要になってくるものは違うとは思いますが、基本的にはずっと自由にさせています。ジュニア年代で必要以上に筋トレするのもおかしな話ですから。
個人、グループ、チームという視点で見ると、どの年代も”個”を伸ばしていかないといけない。サッカーの本質を理解し、なにが大事かという判断ができるようになれば、さらに楽しいものになるし成長にもつながる。いつの時代も技術が必要ないっていうことはない。ボールを扱える、走れる。このふたつはサッカーの普遍的な基本。そのうえで「決断力」が大事になります。
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