インタビュー
2015年7月 2日
堀池巧の父親論「子どもと一緒に考えてあげることが大切」
■つねに"なぜ"と向き合い"なぜ"を解くことが自信につながる
-堀池さん自身は、小学生のころに名門の清水FCでプレーされていたと思いますが、その清水FCを指導されていた綾部美知枝さんが『いまの子どもはプロ選手になることがサッカー人生の終着点になってしまったと感じている。サッカーを通して人間力を教えるのが大事』という趣旨のコメントをしていました。その意見についてはどう思われますか?
「ぼくも同意見ですね。サッカー選手になることを夢にすることは良いと思います。ただ、子どもがある程度の年齢になったら、サッカー選手という職業を理解させてあげなくてはいけないと思います。選手になったらどんなリスクがあるのか、どこまでプレーすることができるのか。実際、例外はあるとしても、どんなに長くても40歳くらいでしょうから、それ以降の人生を考えることも大事だと思います」
-プロ選手になれる人はほんの一握りです。下のカテゴリーに目を向ければ、アルバイトをしながらプレーを続けているというプロ選手もいるのが現状です。
「夢に向かって頑張ることは良いことだと思うんです。ただ、サッカーをやりながらも、つねに将来のことを考えながら時間を過ごさないといけない。そうなると、サッカーだけやっていればいいということにならない。となると、時間があったら語学を勉強してみようとか、なにか手に職がつく資格を取ろうとか、そういう考えを持てることが大事なんだと思います。プロ選手になることはできるかもしれません。でも大事なのは、『なること』ではなく『続けること』。どんな仕事でもそうだと思いますが、なんでも長く続けることが大事なんです。高いレベルを維持するのは本当に大変なことですから」
-サッカー人生にかぎらず、なにが起こるか分からない。
「そうだと思います。たとえば明日怪我をしてしまって突然プレーできなくなるかもしれませんから。ひと言で言えば、つねにリスクマネジメントを考えられること。そうした準備をできる人間というのは、自分がやりたいことにチャレンジできると思うんです。ぼくは現役時代、読売クラブ(現・東京ヴェルディ)に入団するとき、”将来”のことを考えて、日本テレビの社員として契約してもらいました。サッカー選手を引退したら日テレの社員として働くことができるという安心感があったから、むしろサッカー選手としてとことんチャレンジすることができたんです。たしかに将来のことを考えること自体”甘え”なのかもしれませんが、ぼくはかえって思い切りやれました。サッカーの時間だけでなくて、将来のためにサッカー以外の時間を作ることもしてほしいですね。将来のことを考えると”現在”を大事にするようにもなると思いますから」
-そうしたことを考えられる子どもに育てるには、小さい頃からどのように接すればいいのでしょうか?
「ぼくの子育ての基本はやっぱり”見てあげる”ことなんです。”手を離しても目を離すな!”という言葉があるように、やはり子どもたちの行動を”見て”、そして”褒めて”あげる。たとえチャレンジしてミスしたとしても、その原因について子どもと一緒に”考えて”あげる。それで次にチャレンジしてみて成功できたときはまた”褒めて”あげる。見て、一緒に考えて、褒める。それが親としての役割だと思います」
-逆に叱った記憶はありますか?
「もちろんありますよ。でも、子どもは経験がありませんので失敗することは”当たり前”ですから。恐れずにのびのびとチャレンジさせてあげるのが一番だと思います。そうした姿勢がベースにあって、なぜ成功したのか、なぜ失敗したのか、そして次にどうすればいいのか、そうしたことを子どもたちと一緒に考えてあげる。つねに”なぜ”と向き合いその”なぜ”を解いていけば、子どもの自信につながるではないかなと思います」
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