インタビュー

2016年11月 9日

子どもは「やれ」と言われたらやらない!中村憲剛のサッカー少年の育て方

■子どものプレーについて、あまりアドバイスはしない

――サッカーの試合を見ているときに、お子さんにアドバイスしますか?
できるだけ言わないようにしています。子どもは、詰め込みすぎてしまうとこんがらがってしまいます。ぼくが言うのは、ちゃんとやっているかどうかということ。(ボールを)取られたら取り返すとか、みんなががんばっているときに突っ立っていないとか。技術的なことはあとでコソコソっと言いますけど、それはチームのことではなく個人の話。あそこを止められたら良かったとか、あの動きは良かったねとか、そういう話はよくします。基本的に、声を荒げることはないです。
――逆にお母さんのほうがプレー中の子どもにいろいろ言いそうですよね。
これが難しいんですけど、たぶん異性だから、ちょっと感情移入をすると思うんです。男親は別の見方になると思っているので。
――育っていく過程の中で、親御さんに見に来てほしくないと思うこともあるのではないかなと。
だけど、来ないよりは来たほうが絶対にいいと思います。とくに小さいときは、ずっと観ていてあげるのも子どもからしたら嬉しいと思います。自分もそうでしたから。無関心より関心があって、なおかつ"一緒に上手くなっていこう"みたいなスタンスのほうが、絶対に子どもは喜ぶと思うんです。それが中高生にもなるとちょっと恥ずかしく鬱陶しく思われるかもしれないですけど、その時期はある意味、普通のことなのかなと思います。自分もその時期は、親が観にくるのが嫌というか、ちょっと恥ずかしかったりしましたから。
――子どものチームの観戦の話になりますが、コーチの指示や戦い方を聞いてみて、思うこともあるのでしょうか。
ありますね。中には早い段階で詰め込みすぎているかなというチームもあります。子どもたちの好きにやらせればいいと思うのですが、耳を疑うようなことを言っているコーチの姿を見たりもします。それゆえに子どもたちはコ―チの顔色を見ながらプレーするようになって言われたことをまずやろうとしてしまう、ということはすごく感じます。
コーチや監督は今の時代、いろいろな情報を仕入れることができます。ついつい言いたくなる気持ちもあると思います。ぼくたちの時代は、教える側も教えられる側も知識や情報が今ほどなかったので、自分たちで考えながらやらなければいけなかった。当時からすると、いまは革新的に進んでいる面があると思いますが、それが子どもたちの発想を奪っているのかもしれません。
でも一番いいのは、子どもたちの自由な発想を、監督、コーチ、両親がサポートしながらみんなで成長していくことだと思います。
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ。東京都小平市出身。小学生時代に府ロクサッカークラブでサッカーを始め、都立久留米高校(現・東京都立東久留米総合高校)、中央大学を経て03年に川崎フロンターレ加入。06年10月、日本代表としてデビュー。国際Aマッチ68試合出場6得点(2015年2月現在)。05年から14年まで10年連続Jリーグ優秀選手賞を受賞。Jリーグベストイレブン5回選出。

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