インタビュー
2017年1月20日
「君ならできるのになんでやらないの?」風間八宏流・子どもを伸ばす"褒めながら怒る"方法
■褒めるところを探すと、自分も疲れない
ⒸN.G.E
もっともやってはいけないことは、周りと比べるということ。子どもたちはほとんど全員が自分を主役と認めてほしいと思っており、そのために褒められたいと思っています。そして、それがやる気に繋がります。そういう意味でも、褒めることはすごく大事です。そして、この行為はなにも子どもたちだけにとってプラスになるわけではありません。
「褒めるところを探すと、自分も疲れない。例えば、試合中に悪いところを見つけて、『何やっているんだ、こいつは!』『なんだこのプレーは!』と言い続けていたら、親である自分が疲れちゃいますよね。『なぜできない?』というところを見るのはよくないです。人は意外と、他人にはパーフェクトを求めてしまう。自分はできないのに。そうなってくるといろいろとキツくなりますよ。」
「だけど、子どもの試合で『あそこの場面でよくゴールしたじゃん!』とか『よくあのプレーができたな!』ということをすれば、疲れない。つまり、もう一個余裕をもって見てあげることが大事なんです。それはプロの選手でも同じで、『なんでできないんだ!』と言い続けると、もう1回のミスでも許されない。そうしたら彼らはどうなるかと言ったら、萎縮するだけです。ただ、逆に『心配するな、まだ3回しかミスしてないぞ!』と言えば、言われた本人は自分でそのミスを2回にしようとすると思うんです」
「教える側、見ている側が、一つひとつのプレーに対して怒るポイントにするのか、逆に褒めるポイントにするのか。それだけで、本人の気持ちは変わります。例えば、ボールを取られたとしても『その後によく追いかけたね!』と言う。『なんで奪われたんだ!』って言うのは、それはもちろん段階として言わなければいけないときが来るのですが、それを言ってもまた奪われると思うんです」
「ただ、取り返したことを褒めて、『あれでいいよ』って言ったら逆に、次はボールを取られなくなります。なぜかというと、ゆとりが持てるから。だからこそ、先にも言ったように"押し付ける"ことはやってはいけない。そうなると、ゆとりを持つことは無理ですから」
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■子どもの成長を教えているつもりが、前に立って押さえつけてしまっている
親は、子どもたちがより良いプレーをすることを求めているのであれば、気持ちよく、心にゆとりを持ってプレーをしてもらうことがなにより重要です。そうやってサッカーを楽しむ経験をすることが技術面での更なる向上心ややる気のアップに繋がります。試合中のミスに対して怒ってしまえば、望んでいる方向とは逆に進んでしまうことは明白です。
もちろん、それを理解している人は多いはず。それでも厳しい口調になってしまうのは、自分の子どもに自然と注がれる愛情があるからでしょう。ただ、成長のために子どもたちの背中を押しているつもりでも、その愛情が間違った方向にいくことは往々にあります。
「愛情があるから親がそうなる(厳しくなる)のは当たり前で。それがなかったら子どもは絶対に育たないし、愛情のエネルギーはすごく大事」と風間監督も言います。ですが、その愛情が間違った方向へ行かないように、一歩引いて考えてみる。それが子どもたちのやる気を引き出すコツになります。
ⒸN.G.E
「誰でも1番自分の子どもが可愛いのは当たり前だと思います。しかし、あまり怒りすぎると自分が疲れ少してしまいます。だから、"楽になってみませんか?"と言いたいですし、それが1番です。親がそういうスタンスで褒めてあげたほうが、子どもが前に出るようになります。単純に怒るということは親が前に出るということですから。本当は後ろから押してあげているつもりだけど、前で押しつけちゃっている。これが先にも言ったように、"先回りしちゃっている"ということなんです」
子どものやる気を引き出すため、前に進んでもらうためには、褒めることで後ろから押してあげること。行き過ぎた愛情で怒ったり、周りと比較して叱ったりすることは子どもの成長を前から止めることになってしまいます。"先回りをしない"ことが、子どもたちのやる気を引き出す大きなキーワードと言えるでしょう。
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