インタビュー
2017年12月 1日
GKは表裏のある子の方が向いている!? 浦和レッズ・西川周作のゴールキーパー論
■GKに向いているのは裏表のある子!? その真意は...
では、GKに向いているのはどういうタイプの子どもなのでしょうか。西川選手は、自身の経験をもとに持論を展開します。
「裏表のある子ですかね(笑)。僕は、普段はいつもニコニコしているような子だったんですが、試合になると味方を怒鳴りつけたりしていました。だから、『サッカーになると人が変わるね』ってよく言われていましたよ。裏表があるというとネガティブな印象になるかもしれませんが、グラウンドの外では大人しくても、グラウンドの中では感情を出せる子のほうがGKには向いていると思います。コーチングが求められるポジションだし、声を出すことでチームに気迫をもたらすこともできる。あとは、失点しても落ち込まないような、性格的にどっしりしている子が向いているかもしれませんね」
GKをやるうえで、一番のハードルとなりそうなのが、痛みへの恐怖ではないでしょうか。シュートを防ぐ際、あるいは身体を投げだしセービングするときなど、どうしても痛みは生じるもの。西川選手はどうやって、その恐怖を乗り越えてきたのでしょうか。
「もちろん、僕も最初は痛かったけど、やっていくうちに、ダメージの小さい止め方や飛び方が身についてくるもの。技術を磨いていくなかで、そうした恐怖も自然となくなっていきました。たとえば飛び方に関して言えば、地面に突く際に、手のひらじゃなくて、身体の側面から上手く落ちること。正しい飛び方のコツをつかめばケガの防止にもなります。子どもの頃は土のグラウンドでやることが多いと思いますし、当然芝よりもダメージは大きいかもしれません。でも、正しい飛び方ができれば問題ない。僕は土のグラウンドで泥だらけになるのが好きでしたよ(笑)」
■「一緒に頑張ろうか」親も挑戦する姿を見せてやる気を引き出す
GKになるために、様々なポイントを伝授してくれた西川選手ですが、最後に保護者に対してもアドバイスを送ってくれました。
「僕も親になって思いますよ。子どものやる気を引き出すのは、本当に難しいなあって。僕には娘がふたりいて、ピアノをやらせていますけど、どうやったら気持ちよく取り組ませることができるのかと考えますね。当然、僕はピアノを弾けないので、何かアドバイスをすることはできません。でも、『一緒に頑張ろうか』という感じで、一緒に練習しています。そうやって僕も頑張る姿を見せることで、子どものやる気につながってくれればいいですね。もし、自分の子がGKだったら? そうですね、一緒にボールを蹴ってあげますね。怒ったり、ダメ出しはしないで、ただ楽しくボールを蹴り合うと思います」
はじめは嫌だったポジションも、その楽しみを見つけ、日本を代表するGKに成長を遂げていった西川選手。その歩みには、多くのサッカー少年、そしてその保護者にとっても参考となるポイントが多くあるのではないでしょうか。
最後に、GKをやっているお子さんたちのために、正しい構え方を伝授してくれましたのでご覧ください。
【GKの正しい構え方】
膝をラクにして少し腰を落としてニュートラルなポジションを取ると、上下左右に素早く動けます。
西川周作(にしかわ・しゅうさく)
浦和レッドダイヤモンズ(浦和レッズ)所属。ゴールキーパー。大分県出身。大分トリニータ下部組織を経て、トップチーム昇格。高卒1年目から正GKとして活躍。2010年サンフレッチェ広島に移籍後は4年連続でリーグ戦全試合出場を果たしチームの優勝に貢献した。2014年に浦和レッズに完全移籍。2006年から日本代表として2014年ブラジルW杯、2015年アジア杯メンバーに選出されている。