インタビュー
2021年8月25日
「地域に根ざした活動を継続したい」 なでしこの選手を雇用し、地域貢献に取り組む『サミット』の情熱
サッカーを支える企業にスポットを当て、想いを聞く特別企画。今回はなでしこリーグ1部所属、スフィーダ世田谷をスポンサードする『サミット株式会社』です。東京、神奈川、埼玉、千葉に店舗を構えるスーパーマーケットとして、地域に根ざしたビジネスを展開する『サミット』の代表取締役社長・服部哲也さんに、スフィーダ世田谷とサッカーへの熱い想いをうかがいました。
――最初に、服部社長とサッカーとのつながりを教えて下さい。
プレーヤーとしてのサッカー経験はないのですが、1982年のスペインワールドカップがきっかけで、海外サッカーはずっと好きでした。
私は川崎フロンターレのホームタウンに住んでいるのですが、「仕事だけでなく、地域との関わりを持ちたい」と漠然と考える中で、「自分が住んでる街にJのクラブがあるのに、一度も見に行ったことないな」と思い、チケットを買って見に行ったんです。
そうしたら、4点取られても5点取るようなサッカーをしていて、楽しくてハマりました。それが2006年頃です。それ以降、シーズンチケットを保有していて、コアなサポーターがいるところで、飛び跳ねて応援しています。
――そこまで熱烈なサポーターだと、フロンターレからスポンサーのオファーも来るのではないですか?
実際にそのような話もいただいたりはしているのですが、社内にはフロンターレ以外にFC東京や浦和レッズなど、他のクラブのサポーターをしている社員がたくさんいますので、社長がフロンターレが好きだからと言って、スポンサードするわけにはいかないんです。代わりと言ってはなんですが、社長室にはフロンターレのグッズが大量に飾ってあります(笑)。
――その流れから、どのようにしてスフィーダ世田谷のスポンサーになったのでしょうか?
当時、社長だった竹野(浩樹・現取締役会長)との間で、「社員みんなで一体感を持って、応援できる対象が欲しいよね」という話をしていました。
なにか良いスポーツチームがないかと探していたところ、フロンターレのサポーター仲間で東邦薬品に勤務している人がいて、「うちの会社、世田谷の女子サッカークラブのスポンサーをしていて、この前、応援に行ったんだよね」という話を聞いたんです。
――それがスフィーダだったのですか?
そうなんです。女子サッカー選手の待遇などの厳しさは知っていましたし、雇用も含めて、サミットで力になれるのではないかとピンと来ました。サミットは地域に根づいたお店ですし、世田谷区成城の店舗の近くに、スフィーダの事務所があったんですね。
これもなにかの縁だと思い、スフィーダのホームページを見たら「スフィーダとは、イタリア語で挑戦という意味です」と書いてありました。ちょうどその頃、サミットの年間のテーマを「挑戦」にしていたところだったので、これはと思い、スポンサードをすることになりました。
――具体的には、どのような形でスポンサードをしているのでしょうか?
選手の雇用、イベント協賛、マッチデースポンサー、ユニフォームの胸スポンサーなどです。お取引先に小口スポンサーを紹介することもあります。スフィーダの選手は7人、店舗で働いてくれています。週4日、5時間勤務です。
主にサミットのベーカリーコーナーとグロサリー(品出し)で働いています。サッカー選手を引退した後も「サミットで働きたい」と言ってくれて、正社員で働いている人もいます。
――スフィーダをスポンサードすることで、社内にどのような影響がありますか?
去年、なでしこリーグの2部で優勝したのですが、社員は喜んでいました。一緒に働いている仲間が、ピッチでプレーする姿を見ると、応援にも熱が入りますよね。
スフィーダから愛媛に移籍した選手がいるのですが、一緒のお店で働いていたパートタイム社員は、愛媛まで応援に行ったりしているみたいです。アットホームな雰囲気もサミットの良さかなと思っています。
――社長自身、スタジアムに足を運ぶのですか?
はい。会長の竹野はメインスタンドでお取引様とコミュニケーションをとり、私はゴール裏でコアなサポーターたちと一緒に声を出して応援しています。最初は「サミットの社長がなんでここに?」みたいに驚かれました。
コロナの前はアウェイもほぼ行っていました。フロンターレのルヴァンカップ決勝とスフィーダの試合が重なったことがあって、「まさかフロンターレの方には行かないですよね?」と、選手やサポーターに言われたこともありました(笑)。もちろん、スフィーダの試合に行きましたよ。
――スポンサードに関して、今後のビジョンを教えて下さい。
サミットもそうですが、スフィーダも地域に根ざした活動を続けていってほしいと思っています。サッカーなので勝つときもあれば、負けるときもあります。勝ち負けが第一ではなく、地域の人達に応援される存在になっていってほしいです。
我々の地域に根ざした活動としては、小学校と連携をとって、社会科見学でサミットのバックヤードをお見せしたり、店長が小学校に行って、スーパーの仕事の話をしたりと、様々な活動をしています。
スフィーダの選手が一緒に学校に行くと、子どもたちはすごく喜んでくれます。そのように、地域のみなさんに喜んでいただけるような活動を、スフィーダと一緒に続けていきたいです。