インタビュー
2023年2月20日
サカイクとコラボしたFC東京普及部コーチが語るU-10世代にアプローチしたいこと
2023年の春休みに、サカイクとFC東京がコラボしたキャンプを開催します。小学3、4年生対象のこのキャンプは、2022年夏に初開催し、好評を博しました。
サッカーをしていく上で必要になる「判断を伴った技術の発揮」「1対1でボールを奪う技術」「チームメイトとのコミュニケーション」などを、小学3、4年生に、3日間かけてレクチャーしていきます。
昨夏に続き、メインコーチを務めるのが、元Jリーガーの大島翼コーチです。小学3、4年生というサッカー導入期の子どもたちにとって、どんなことが大切なのでしょうか? キャンプでの取り組みを通じて、子どもたちに伝えたいことをうかがいました。(取材・文 鈴木智之)
■U-10世代にだからこそチーム戦術を伝える理由
「FC東京×サカイクキャンプ」の特徴は、FC東京が大事にしている『サッカーの基本』や『サッカー理解』に加えて、サカイクキャンプで導入している『ライフスキル』も学ぶことができること。
大島コーチは「FC東京の選手は、ただ技術が高いだけでなく、サッカーの原理原則を理解して、その状況に応じて力を発揮できる選手だと思っています」と話し、次のように続けます。
「昨夏に行ったキャンプでは、サッカーのトレーニングに加えて、考える力、リーダーシップ、感謝の心、チャレンジ、コミュニケーションといったライフスキルに働きかけることで、子どもたちの意識や取り組みも変わっていったように思います」
キャンプでは「サッカーの技術・戦術とライフスキルの両方を伸ばしましょう」というテーマで取り組み、「最終日に7対7の試合をするので、子どもたち同士でフォーメーションやポジションを考えてもらうようにしました」と言います。
「トレーニングの要素も、1対1〜3対3のように個人戦術を伸ばす練習に加
小学3、4年生の場合、個人差もありますが、周囲との関わりよりも、ボールを持ったら自分でドリブルしたい、ゴールしたいという気持ちが強い時期です。
大島コーチは「その姿勢は素晴らしいことです」と尊重した上で「まずはいいチャレンジだったねと褒めた上で、さらにレベルアップするために、仲間の状況を見て、自分で行くことを決断したのか、それとも周りを見ずに進んだのかといったところにもアプローチしていきます」と話します。
大島コーチによると、「小学3、4年生は、周囲に目が向き始め、集団を形成し始める時期」だそうで「周りとの関わりの中でプレーすることを指導するのに適した年代です」と豊富な経験をもとに説明します。
「3、4年生になると、子どもたちの中で個性が出てきます。各自の個性や長所を伸ばして、うまくいかないところは底上げするような、それぞれの色を輝かせるような関わり方をしています」
FC東京×サカイクキャンプは「それぞれの個性を生かして、みんなが楽しかったと言える、自分の特長を発揮して帰ることのできるキャンプにしたいです」とイメージを話してくれました。
■アグレッシブなプレーの土台にはチャレンジする環境を
FC東京が目指すのは攻撃的なサッカーです。「東京が熱狂」
「子どもたちがチャレンジしやすいように、常にポジティブな雰囲気づくりを心がけています。普段から『失敗は気にしなくていいので、どんどんいいプレーを出していこう』と伝えています」
子どもたち同士に「どうすれば良いプレーができるだろう?」と投げかけ、「チームが良くなるために、相手に勝つために、どんな声掛けをしたらいいかな?」「自分にはどんなことができると思う?」といった問いかけを通じて、サッカーという集団スポーツの中で必要なことを身につけていきます。
「作戦会議や試合中の声かけに関しては、まずは自分が感じたことを伝えてみよう。言われた方も、そういう意見もあるよねと受け入れてみよう。そうやってコミュニケーションをとりながら、積極的にアクションを起こせるようになってほしいと思っています」
■サッカーの技術だけでは上手くなれない
FC東京×サカイクキャンプが目指すのは、サッカーとライフスキルの両面からアプローチすることで、互いに相乗効果を生み出し、より良いサッカー選手になることです。大島コーチは言います。
「サッカーが上手くなりたいと思っている子は、たくさんいると思うんです。でもサッカーだけをしていて上手になるかというと、ある程度限界があると思っています。何が大事かというと、今回のテーマで扱うライフスキルです。多くの研究で、ライフスキルと競技力は相関関係にあることが明らかになっています。サッカーがうまくなりたい子に、『良い選手になるためには、ライフスキルも大切なんだよ』と伝える場にしたいです」
サカイク×FC東京キャンプは、春休みに、大きく成長するチャンスです。普段とは違うコーチ、違うチームメイト、違う環境でプレーする経験は、たくさんの気づきをもたらせてくれるでしょう。最後に、大島コーチはこんなメッセージをくれました。
「僕たちは、参加してくれるみなさんが夢中になって、楽しくサッカーができる環境を準備しています。ぜひプレーすることを楽しみに来てほしいと思います。このキャンプはコーチだけでなく、参加者のみなさんと一緒に作り上げるプログラムだと思うので、一緒に作っていきましょう!」