インタビュー
2023年3月27日
タニラダーライセンスを取得して「動作を言語化することができるようになった」
タニラダーインストラクターの資格を取得し、日々の指導に役立てている方に、お話をうかがうこの企画。今回は栃木県宇都宮市を拠点に、関東全域で「スポーツパフォーマンスコーチ」として活動する、安部剛弘さんです。
サッカーを皮切りに、野球や陸上など競技を問わず「体の使い方」「アジリティの向上」「スピードアップ」といった観点から、選手を成長に導く活動をしている安部さんに、タニラダーインストラクター資格取得の理由をうかがいました。(取材・文 鈴木智之)
■身体操作の重要性を感じる
安部さんがタニラダーに出会ったのは、2013年のことでした。タニラダーメソッドが世に出始めた頃、感度の高い安部さんは「自分のプレー向上のために、勉強を始めました」と振り返ります。
「当時、自分は社会人でサッカーをしていたので、プレー向上のために勉強しようと思い、タニラダーのDVDを購入しました」
いまから10年前ともなると、サッカー動作をアジリティの観点から紐解くものはほとんどなく、タニラダーメソッドは先駆けのようなものでした。
「そこから、自分の子どもがサッカーを始めたので、お父さんコーチをしながら、タニラダーDVDや冊子で学んだことを、トレーニングに取り入れていました」
サッカーの指導者として、JFA B級ライセンスを所持する安部さん。
現在はパフォーマンスコーチとして、様々なスポーツ選手の指導にあたっていますが「自分がプレーしていたこともあって、サッカーを軸に考えながら、サッカーのパフォーマンスを上げるためにはどうしたらいいんだろうというところからスタートしました」と話します。
「子どもたちに、止める蹴るなどの基本動作を教える中で、身体操作の重要性を感じたと言いますか、自分が思うように体を動かすことができて、サッカーも上手になるのではないかと思ったんです」
■タニラダーでしか、知り得なかった論理
安部さんは「サッカーを始め、スポーツをする上で大切な『体の動かし方』という観点をもたらせてくれたのがタニラダーだった」と言います。
「僕がタニラダーに出会ったのが2013年で、タニラダーインストラクターの資格ができたのが2022年です。僕からすると、ようやく体系立てて学ぶことができるという気持ちで、インストラクターの勉強を始めました」
早速、タニラダーインストラクター資格のC級、B級を取得した安部さん。パフォーマンスコーチとして、日々、様々な勉強を続けていますが、サッカーのパフォーマンス向上の観点から、「タニラダーでしか、知り得なかった論理がある」と言います。
「足裏アーチの大切さは、タニラダーメソッドでしかわからなかったと思います。私はたくさんの資格を取得してきましたが、足裏のアーチを感じて、行きたい方向と反対側にステップ踏んで前に出ることは、タニラダーで初めて習いました」
さらに、こう続けます。
「タニラダーの良いところは、サッカーに直結するアジリティを、ラダーを使って論理的に教えていることだと思います。サッカーに必要な1m、2mのスピードを、どうやって高めるかを学ぶことができます。サッカーはストップ動作からのスタート動作がすごく重要で、止まった状態から走り始める、走った後に止まる動作の繰り返しですからね」
安部さんは「スプリント能力の向上だけであれば、他の指導メソッドにも素晴らしいものがありますが、サッカーに必要なアジリティ向上の観点では、タニラダーの教え方が適していると思う」と言います。
■いまではチームのスピードスター軍団に
安部さんはパフォーマンスアップコーチとしての活動に加えて、自身のお子さんの指導にも、タニラダーメソッドを役立てているそうです。
「アジリティの理論を子どもに落とし込むことで、明らかに動きが変わりました。中3と小5の子どもがいるのですが、2日に1回の頻度で、タニラダートレーニングをしています。子ども自身が、動きが変わっていることを感じているので、僕が言わなくても、積極的にやるんですよね」
プレーを見ていても「切り返しの場面で動きがスムーズになった」「アジリティが上がった」と感じているそうで、「それほど身体能力が高い方ではないのに、タニラダートレーニングのおかげで、能力が高そうに見えるんです」と笑顔を見せます。
「もともと足は遅い方なのに、いまではチームのスピードスター軍団に入り始めるという不思議な現象が起きています(笑)。足裏のアーチの使い方、地面への接地の仕方などを、理論的に教えていて、子ども自身も動きを理解して『こうやって動かすんだ』と考えながらやっているので、効果が出ているんだと思います」
安部さんはお子さんのサッカーを通じ、多くの小中年代のチームを目にする機会がある中で、「トレーニングをいくら頑張っても、間違ったやり方をしていては、パフォーマンスは向上しない」と感じているそうです。
「逆に言うと、タニラダーのように理論的な裏付けがあり、ちゃんと取り組めば効果が出るトレーニングを積み重ねていけば、日本全体で見ても、子どもたちのパフォーマンスはもっと上がると思います」
■動作を言語化することができるようになった
安部さんは「大切なのは、指導者が言語化して、子どもたちに伝えること」と言葉に力を込めます。
「言語化されない限りは、子どもたちはわかってくれません。デモンストレーションを見せてうまくなるのであれば、YouTubeを見て真似すると、みんなメッシになれますよね。でもそうではなくて、どのようにして体を使うと、スムーズな動きやスピードアップにつながるのかを言語化して教えること。その上でデモンストレーションをすることで、選手たちの学びにつながっていくのだと思います」
安部さんはタニラダーライセンスを取得する過程で「動作を言語化することができるようになった」と感じているそうです。
「ターンをするときに、Uの字を描くように走っていた子が、タニラダートレーニングを通じて足の踏み替えを覚えことで、スムーズにターンができるようになりました。その姿を見たときに、タニラダーメソッドはすごいなと思いました。子どもたちとも『いまは、足裏のアーチを感じていなかった』といったように、定義づけられたものをベースに、共通言語を使ってやり取りができるのは、すごく大きいと思います」
「サッカー特有の動きを言語化する方法を、タニラダーで学んだ」と話す安部さん。今後も、選手のパフォーマンスを向上させるために、飽くなき探究心で学びを続けていくようです。