サッカー豆知識
2010年12月 6日
【第4回】「知ってます?世界のサッカー常識」- サッカーは監督次第!?
■彼が世界一の監督と呼ばれる所以 「ジョゼ・モウリーニョ」
このコーナーでは毎回、知っていそうでいなかった世界のサッカー事情について、ランダムにとりあげます。世界各国で様々に楽しまれているサッカーというスポーツの奥深さを感じるような話題、子どもとの会話のネタになるような話題を数多くセレクトしていく予定です。
第四回目はいまや世界を代表する名監督、ジョゼ・モウリーニョについて。世界のサッカーにうとい人でもこの名前くらいは聞いたことがあるはず。現在47歳。ポルトガル生まれの知将です。
試合はあくまで選手が行うもの。監督の善し悪しはもちろんチームに影響を及ぼすけれども、勝負は、選手の能力次第という考えが、どんなスポーツにおいても一般的です。ところがモウリーニョが毎年残す成績を見ていると、サッカーは監督次第なのではないか、と錯覚してしまうほど。どんなチームで指揮をとっても、驚くほどの好成績で周囲を納得させてしまうのです。
監督としてのキャリアは2001-02シーズンから。そして世界の注目を浴びるようになったのは2002-03シーズン、ポルトガルのFCポルト時代でした。不調に沈んだ名門をシーズン途中から率いたモウリーニョ。国内リーグでも優勝から遠ざかっていたチームをいきなりリーグ上位に押し上げた翌年、UEFAカップも含む3冠を成し遂げ、その翌年にはなんとレアル・マドリー、マンチェスター・ユナイテッドらを押しのけ、チャンピオンズリーグ優勝まで果たします。
その翌シーズンはあっさりイングランドのチェルシーに移籍。モウリーニョを失ったポルトは翌シーズン2位に甘んじました。チェルシーでは就任直後にいきなり50年ぶりのリーグ優勝。その次のシーズンには2連覇を果たします。そして、1年の浪人の後、今度はイタリアのインテル監督に就任。そのシーズンもセリエA優勝、そして翌シーズン2連覇。さらには1964年以来の欧州制覇となるチャンピオンズリーグ優勝も果たしてしまいます。そして今年はスペインのレアル・マドリーに移籍。現在首位を快走しています。
ここまで見てくると、ポルト時代は在籍2年でリーグ優勝2回、欧州制覇1回。チェルシー時代は在籍3年でリーグ優勝2回。インテル時代は在籍2年でリーグ優勝2回、欧州制覇1回。圧倒的としかいいようのない成績をおさめている訳です。しかもモウリーニョが去った後のチームはどこも一旦は不調に陥り、その存在の大きさを裏付けるかたちになっています。昨年まで指揮をとっていたインテルは欧州制覇直後の今シーズン、現在リーグ6位に低迷しているほどです。中心選手のスナイデル、マイコン、エトーらは変わらず活躍を続けているにもかかわらず、です。
徹底的に対戦相手を調べあげ、どう戦えば勝てるかを分析する戦術眼と観察眼。そしてスター選手を鼓舞し、全員にチャンスを与えるというモチベーターとしての能力。さらには、マスメディアを巧みに利用して相手チームを不安にさせたり、自チームの選手を発憤させるというメディア戦略。365日、サッカー漬けだという彼の手腕は、どの角度から見ても最高レベルにあると言えるでしょう。
指導者の質によってチームは180度変わる可能性がある、ということをモウリーニョは教えてくれます。具体的な指導法においてどのような特徴を持っているかについては、次回に続きます。