サッカー豆知識
2013年1月 3日
サッカー界が注目!欧州リーグのシーズン半ばに繰り広げられる『冬の移籍市場』とは?
チェルシーやアーセナルが、バルセロナのビジャをねらっている? ユヴェントスが上海申花からドログバを獲得する? インテルのスナイデルがプレミアリーグへ移籍する? ミランのパトが母国ブラジルのコリンチャンスへ?
今季もサッカー界にさまざまな噂が飛び交う、『冬の移籍市場』と呼ばれる時期がやってきました。
■移籍期間とは、リーグに選手を登録できる期間のこと
我々にとって記憶に新しいのは、2011年1月31日にインテルへの移籍が決まった長友佑都選手のケースでしょうか。イタリアでは『移籍期間』の最終日となる同日、各クラブの幹部や代理人がホテルで一堂に会して、移籍の交渉ごとを一気にまとめ上げることが慣例となっています。その様子はテレビでも中継され、一つのエンターテインメントともいえます。最終日ギリギリに駆け込んだ長友選手のインテル移籍も、我々を一喜一憂させ、楽しませてくれました。
サッカー界にはこのような移籍期間が設けられていますが、これは厳密に言えば、クラブが各リーグに選手を登録できる期間のこと。どの国のリーグでも年に2回設定されています。欧州リーグではシーズン終了後から8月31日まで、そしてシーズン半ばの1月の約1カ月間の2回に設定されるのが一般的で、この時期にさまざまな選手の契約が発表されることになります。
このような移籍期間の設定がなければ、クラブはいつでも好きなときに選手を売り買いできてしまい、お金のあるチームの選手がシーズン中にコロコロ変わるなど、スポーツ上の秩序が保たれなくなる可能性があります。また、契約に関する期間を限定することで、シーズン中に選手をプレーに集中させることにもつながります。
移籍期間(リーグに選手を登録できる期間)はリーグごとに定められるため、期間が異なるケースもあります。たとえば2012年夏の例では、プレミアリーグ、リーガエスパニョーラ、セリエA、ブンデスリーガなどの主要リーグは8月31日が登録期限となっていましたが、フランスのリーグアンでは9月4日まで、ロシア・プレミアリーグは9月6日まで登録が可能でした。リーグアンは2011-12シーズンの最終節が主要リーグよりも遅く、ロシア・プレミアリーグもシーズンの時期が主要リーグとは異なったため、このような移籍期間の差異が生まれたようです。今季で言えば、9月4日に元Jリーガーのブラジル代表、フッキがポルトからロシアのゼニトへ駆け込み移籍を成立させました。
ちなみに、日本のJリーグは3月に開幕し、12月頭に終わるという欧州とは異なるシーズンであるため、移籍期間も2013年に関しては1月4日~3月29日、7月19日~8月16日と、欧州とは異なる設定になっています。
一方、移籍期間の例外としては、戦力外通告された選手など、所属フリーの選手については期間外でも登録することができます。2012年11月には左サイドバックにけが人が続出したレヴァークーゼンが、ブレーメンで契約満了となった後に所属先が決まっていなかったポーランド代表のボーニシュという選手を獲得しました。結果的には細貝萌がその穴を埋めて活躍しているため、ボーニシュは控えに甘んじていますが、このような補強に関しては例外的に認められています。
■移籍金とは、クラブとの契約を破棄する際の違約金
サッカー選手の移籍について、移籍期間のほかにもう一つ重要になるのは『移籍金』です。
選手は所属元のクラブと何年かに及ぶ契約を結んでいるため、その途中で契約を破棄してクラブを移るためには、所属元のクラブに対して違約金を支払う必要があります。『移籍金』とは、この契約に関する違約金の俗称になります。
この移籍金は所属元のクラブが設定し、移籍先クラブがその金額を受け入れ、なおかつ選手自身が望む場合のみ、移籍が成立することになります。
では、この金額はどうような基準で決まるのでしょうか?
次回は移籍金の金額を決定する主な指標や、移籍市場で起こっているさまざまな問題に迫ります。(1月4日更新予定)
清水英斗(しみず・ひでと)//
フリーのサッカークリエイター。現在はGoal.comJapan編集長も務める。ドイツやオランダ、スペインなどでの取材活動豊富でライターのほか、ラジオパーソナリティー、サッカー指導、イベントプロデュース・運営も手がける。プレーヤー目線で試合を切り取ることを得意とし、著書は、『イタリアに学ぶ ストライカー練習メニュー100 』『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』『サッカー守備DF&GK練習メニュー100』『サイドアタッカー』 『セットプレー戦術120』など多数。
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