サッカー豆知識
2013年1月 4日
バルセロナがメッシに設定した移籍金は約300億円!? 「移籍金」は、どのような基準で決まる?
前回は各国リーグの移籍期間や一般的に移籍金と言われるクラブとの契約を破棄する際の違約金について触れてみました。今回は、移籍金の金額設定基準や、移籍市場で起こっているさまざまな問題についてもお伝えしていきます。
■クラブとの契約を破棄するための違約金を決定する主な指標とは
重要な指標は、実力、人気、年齢、契約年数です。有能な選手、人気選手ほど移籍金も高額になり、さらに若い選手のほうが獲得した後に長くプレーすることが期待できるため、移籍金も高額になります。もちろん、所属元のクラブとの契約年数が長く残っている選手ほど、それを破棄するための移籍金も高くなります。
一方、契約期間が満了した選手の場合はフリーとなり、移籍金がかからず、ゼロ円で自由にクラブを移籍することができます。
そのため選手の契約期間が残り少なくなってくると、クラブは必要な選手に対しては契約の延長を申し出ることになります。契約可能な最大年数はFIFAの規約により5年。移籍期間にはチームを移る話だけでなく、このような所属元クラブとの契約交渉も行われます。
■移籍市場ではさまざまな問題が起こっている
2012年の夏にドルトムントからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した香川真司選手の移籍金は15億円。ブンデスリーガで大きく活躍した実績、23歳という若さを考慮するともっと高額の移籍金が設定されてもおかしくはないですが、香川自身がドルトムントとの契約延長を拒否したため、契約期間が1年しか残っておらず、クラブは香川に対して違約金を設定できるうちにお買い得価格でユナイテッドへ売却する形になりました。
ステップアップを図りたい選手にとっては契約期間を短くすることで移籍金を安く抑え、いわゆる『お買い得選手』になることができるのですが、一方、所属クラブにとっては有能な選手とは長い複数年契約を結んだほうが高額な移籍金を設定できるため、両者の言い分が食い違うことになります。
香川のケースは本人の希望をドルトムント側が認める形で交渉がまとまりましたが、このような穏便に済む場合ばかりではありません。スペインのアスレティック・ビルバオに所属するフェルナンド・ジョレンテのように、契約延長を拒否した選手が戦力外として干されてしまい、飼い殺しになるということも欧州サッカーでは日常的に存在し、これに選手会側が反発するなど問題になっています。また、欧州クラブのサポーターは選手の契約延長を『クラブに対する忠誠』として捉えるため、契約延長を拒む選手に対しては容赦ないブーイングを浴びせることもあります。
移籍、契約交渉はこのようなさまざまな立場からの思いが渦巻くことになります。
つい先日、2018年までの契約延長に合意したバルセロナのメッシのように、クラブと選手が相思相愛である場合は話がスムーズなのですが、両者のキャリアプランが食い違う場合はどうしても話がややこしくなってしまうのです。
ちなみにバルセロナがメッシに設定した移籍金は、なんと3億3千万ドル。300億円近い金額です。この法外な金額は「メッシは絶対に売らないよ」というバルセロナのサインでもあるでしょう。もちろん、この金額を支払うと言い出すクラブが現れても、メッシ自身が首を縦に振らなければ移籍は成立しません。
このような人間模様も含めると、移籍市場をより深く楽しむことができるのではないでしょうか。
「あれ? あの選手はいつも“クラブを愛している”とコメントしているけど、なぜか契約延長にはサインしないぞ…」、あるいは逆に「あの選手は、言葉は少ないけど、いつも契約延長にはすっきりサインしている。クラブ愛は本物だな」など、移籍市場には選手の隠れた本音が映し出されているかもしれません。
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