サッカー豆知識
2014年12月26日
日本サッカーはなぜ勝てないのか!? 11の敗因と9つの課題
■オフ・ザ・ピッチ3つの改革
また、オフ・ザ・ピッチでの改革としては、まず組織・人材の面で「担当ダイレクターの新設」が決まりました。これは強化担当の技術委員長が「どうしてもA代表、五輪代表が優先になってしまう」(霜田委員長)ことがあって年代別代表の強化を継続して外側から観察し、助言する人材がいなかったことを反省してのものです。その初代ダイレクターには、「ラオス代表監督としてアジアでの経験も豊富」(霜田委員長)、横浜FM元監督の木村浩吉技術委員が就任することとなりました。
さらに「海外から育成スーパーバイザーを招聘」することも検討しているそうで、外国からの目線で日本の育成年代を広く観察してもらい、助言を得たいとしました。さらに年代別代表に「コンディショニングコーチ役職を新設」することも決定。「本田圭佑や長友佑都のようなフィジカルで世界と戦える選手も出てきた」(霜田委員長)ことを踏まえ、「フィジカルで勝てないと決め付けるのではなく、もう一度これを考え直す」としました。これまでフィジカル面についてはトレーナーが付いてサポートしていましたが、あくまで監督のサポート役でしたから、小さからぬ変化でしょう。
さらに、「育成アシスタントコーチの新設」も決まりました。これは従来、「協会の内規で原則としてS級ライセンス保持者に限定されていた」(同委員長)年代別日本代表のコーチ職を開放。実際に選手と蹴り合うことのできる引退したばかりのW杯出場経験者などをこのポジションに宛がい、実際に選手と肌を合わせながら、国際試合の厳しさなどを伝えていく存在にしたいとのことでした。また「ナショナルコーチングスタッフの複数年代指導」も強調され、「たとえばU-15の指導者がU-18も観に行くし、U-18の指導者はU-22を観に行く」と、これまで疎遠なのが当たり前だった各年代別代表の指導者に「縦のつながり」を意識させることも明らかにしています。
同時に年代別代表選手に関して「年間20試合の国際試合を経験させる」を目指しつつ、これまではクラブと代表でどういう選手に育てたいのかという育成方針が乖離することが少なくなかったことを踏まえ、「所属クラブとのダイレクトコミュニケーション」も重視することも強調しています。また、今後の施策として「エリート育成におけるJFA/Jリーグ協働ボード」を策定し、Jリーグのアカデミー育成とより協調を図っていくことも明示されました。
エリートがうまく育っていないことは日本サッカー協会も自覚するとおりで、それがU-19代表の四大会連続敗退という事態につながっていることも、また確かでしょう。その上で、どう選手を育てていくべきなのか。これは「どう発掘するべきなのか」という点も忘れずに、あらためて議論していく必要があるように思います。いずれにせよ、「このままではいけない」という日本サッカー協会の危機感が感じられるブリーフィングとなりました。
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