サッカー豆知識
2017年7月 3日
「練習のための練習」ではなく試合で使えるスキルを― UEFA A級ライセンスを持つコーチ が語る、考える子どもを育む指導
■試合を想定したトレーニングで、使えるスキル、アイデアを身につける
(つねに試合を想定した状況でのトレーニングを行い、子どもたちに気づきを与えます)
日独フットボール・アカデミー以外にも、街クラブやスクール、選抜チームなどでも指導をしているシュタルフ・悠紀氏。選手を成長させるために、どのような考えのもとで指導をしているのでしょうか。
「試合で生きることを練習に落とし込む。そこにトレーニングの意義を感じています。なるべく試合の状況を忠実に、"それは試合で使えるスキルなのか?"を考えてオーガナイズしています。練習では選手に考えさせる問いかけをすることや、オーガナイズを変えることで気づきを与え、選手自身がアイデアを出すようにしています。トレーニングではなるべく具体的に、たとえば『ビルドアップ』というテーマではなく、『ビルドアップのこういう動き』と試合の状況に落とし込む中で、選手がプレーの引き出しを少しずつ身につけるようにしていきます」
シュタルフ・悠紀氏は「こう言うと、教えすぎなのでは? と思う方もいるかもしれませんね」と前置きをした上で、真意を伝えるために、小説の書き方を例にあげて説明します。
「子どもに紙とペンを渡して『小説を書いてごらん?』と言っても書けませんよね。まずはひらがな、カタカナ、漢字を覚えて、ラブストーリーや冒険ものなど、テーマを与えて、ようやく小説らしくなります。サッカーも同じだと思うのです。8歳や9歳のときは遊びの中でサッカーの基礎を身につけるように導いていき、試合中に『この状況は練習で見たことがある!』と気づくことができるような練習を心がけています」
ドイツと日本、両方で指導経験を持ちながら、コーチだけでなく、Jクラブの育成を査定・コンサルティングする機関でも働くシュタルフ・悠紀氏。そのエッセンスを元に、精力的に指導を行っているようです。サカイクでは今後も日独フットボール・アカデミーの情報を発信していく予定なので、お楽しみに!
シュタルフ・悠紀・リヒャルト
ドイツ、ボーフム出身。ドイツ人の父親と日本人の母親を持つ元プロサッカー選手。ドイツ、米国、オーストリア等11カ国でプレー経験を持つ。これまでドイツDFBシュトゥッツプンクト・トレセン・コーチ、東京ヴェルディ普及コーチ、ドイツ学園イーグルス・ダイレクター、レコスリーグ選抜監督、double pass クラブコンサルタントなどを務めている。指導言語は日本語、ドイツ語、英語。
ドイツ・サッカー協会公認A級(UEFA A級)ライセンス保有。
弟のシュタルフ・浩大・トーマス氏も日本サッカー協会公認A級ライセンス・ジェネラルなどを保有し、当校でコーチを務めている
日独フットボール・アカデミー
サッカー大国ドイツを再び世界一に導く原動力となった育成プログラムでサッカーを学ぶことができるアカデミー。本場ドイツで指導プログラムを学び、ドイツサッカー協会公認のライセンスを取得したコーチを中心とした少人数体制で、きちんと目が届く指導を行う。SVヴェルダー・ブレーメンと提携を結び、現地のチームとの対戦などで本場の指導者、環境に触れる機会も用意。
試合に活かすための練習が大事、練習のための練習であってはならないという指導方針に基づき、試合を想定した状況下で練習テーマを試行する育成カリキュラムをを導入している。
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガに登録しよう!