サッカー豆知識

2017年10月 5日

多くのJリーガーを生み出した強豪校が練習を100分しかしない5つの理由

来年のFIFAワールドカップロシア大会出場を決めたサッカー日本代表は、10月6日、10日に行われる『キリンチャレンジカップ2017』でニュージーランド、ハイチと対戦します。今回発表されたメンバーの中で注目を集めているのが、初招集となった川崎フロンターレのDF車屋紳太郎選手。鹿島アントラーズのDF植田直通選手と同じ、熊本県立大津高校の卒業生です。
 
今回選ばれた2人だけでなく、過去にはGK土肥洋一、FW巻誠一郎、MF谷口彰悟といった選手が日本代表に選出されているほか、同校サッカー部の卒業生から50人近くがプロとなって、Jリーグの舞台で活躍しています。
 
彼等を指導したのが、同校に25年間勤務し、2017年春から熊本県宇城市の教育長となった平岡和徳氏。多くのJリーガーを輩出した背景には、「職業は教師 仕事は人づくり」と自認する平岡氏ならではの指導哲学やスタンスがあります。
 
例えば、日常生活や挨拶など「当たり前のことを当たり前に 人並み以上に一生懸命にやる」という「凡事徹底」の考え方もその1つ。そして大津高校サッカー部の大きな特徴が、全国的にも強豪として知られる存在でありながら、部活動での全体練習を「100分間」と区切っていること。
 
大津高校ではなぜ、トレーニング時間を100分間と区切っているのでしょうか。(取材・文・写真:井芹貴志)
 
(部活動の全体練習は100分と決められている)
 

1.終わりを決めることで、途中を頑張る

サッカーは試合時間が決まっていて、試合中もベンチから残り時間を伝えたり、大きなビジョンに表示された経過時間を目にしたりすることで、試合が終わるまでに何をすべきか考えることができます。プレーしている選手達は、リードしていれば「残りの5分、最後まで踏ん張ろう」と思い、逆にリードされていれば「残り10分でどんな攻撃をすれば追いつき、逆転できるか」と考えたりします。
 
大津高校で行われている練習もこれと同じで、スタートしてから100分と終わりの時間が区切られていることで、途中の時間を全力で頑張ることにつなげているのです。
 

2.集中力を維持する

終わりの時間が決まっているということは、できることが限られる、ということを意味します。練習の最後に15分ハーフのゲームをやろうとすれば、前後半の30分やその準備を除いたそれまでの60~70分で、ウォーミングアップやパスコントロール、対人練習、あるいはゲーム後のクールダウンの時間を組み込まなければいけません。
 
こうして100分間を区切っていくと、テンポよくトレーニングが進み、無駄な時間は削ぎ落とされ、内容が濃くなります。同時に、1つ1つのメニューにかける時間も限られるので、選手達の集中力を維持することになるのです。
 
(1つ1つのトレーニングに高い集中力で臨める)
 

3.良い流れや課題を翌日につなぐ

選手の心理を考えると、「今日は調子が良いな」と思えるパフォーマンスができている日は、「もっとやりたい」という気持ちが強くなりがちです。しかし、だからといって長時間やりすぎてしまうと、オーバートレーニングになったり、あるいは翌日のモチベーションが低下したりすることにもなりかねません。
 
「今日、ここまでできたから明日はこのプレーにチャレンジしてみよう」「今日はこのプレーができなかったから、明日はこのポイントを意識しよう」といったテーマや課題を選手達が自ら見つけ、翌日のトレーニングを心身ともに良い状態で迎える。全体練習の時間を区切ることは、そうした効果を狙ったものでもあります。
 
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