サッカー豆知識
2017年11月 8日
「今じゃなきゃダメ」 現役日本代表の本田圭佑が"今"にこだわってスクール運営に心血を注ぐワケ
■現役の日本代表選手が"いま"サッカースクールをやる理由
現役選手である本田圭佑選手が、"いま"育成に根ざしたクラブ運営、スクール事業をやることになった経緯を鈴木氏に聞きました。
「きっかけは2010年の南アフリカW杯の後の自主トレで本田に出会ったことでした」
本田選手は、そのときから明確にサッカースクール事業、育成プランのビジョンを描いていたと言います。
「私もスクールの運営やクラブ事業に関わっていたので、本田のコンセプトには共感しましたが、広げれば広げるほど指導者の問題が出てくる。どんなにいいプログラムがあっても、どんなに熱い思いを持っていても、スクールが増えていけばすべての指導者に同じ質、熱量を求めるのは難しい。そう話して、しばらく保留ということになっていました」
本田選手は諦めるどころか日本に戻ってくる度に鈴木さんを呼び、ビジョンを熱く語りました。
「自分がやってきたこと、いまやっていることを子どもたちに伝えたいっていうんです。選手にも指導者にも(当時)ヨーロッパでプレーする自分の感じていることをリアルタイムで伝えたいと言われて、一緒にプロジェクトを始めることになりました」
サッカー選手が引退してから取り組むというのは良く聞く話ですが、本田選手は鈴木さんに「いまじゃなきゃダメなんだ」と熱弁を振るいました。
「夢は人を大きくする。夢は人を強くする」
スクールのスローガンにもあるように、目標や夢を常に持つ姿勢、そのために何が必要で、何をしなければいけないのか、本田選手はそうなるために何をしてきたのかを徹底して教えていると言います。
(大会前に初めて顔を合わせた選手たちだったが、戦う姿勢を見せ大きな結果を手にした)
■世界トップの感覚をダイレクトに子どもたちへ
「技術にしても世界のトップ選手の感覚をダイレクトに伝えたいというのは本田がよく言っていることです。指導現場でよく言われる『ルックアップしなさい。顔を上げなさい』ということも、本田は『香川選手や乾選手はドリブルで相手を交わす瞬間などは顔は上げない、常に顔を上げていることはない、その状況による』っていうんですよね。その瞬間は相手の足下を見てどっちに重心がかかっているかとか、そういう情報を取りに行っていると」
本田選手がいま感じていることを伝えたい。鈴木さんをはじめとする指導スタッフは、本田選手の言葉を元に指導カリキュラムに落とし込み、選手に還元しているそうです。
「スクールが増えるなかで、指導者の育成は急務です。本田のコンセプトを伝えるのはもちろんですが、コーチの人間性や責任感、人間としての成長に目を向けています」
「世界に挑戦する」ためのワールドチャレンジでソルティーロ・ワールド・セレクトが放った輝きは、本田選手の目指すものの片鱗を感じさせるものでした。
「日本サッカーのために自分の経験を還元したい」 本田選手と鈴木さんの挑戦は続きます。